Miles Davis / Seven Steps To Heaven

Seven Steps to Heaven

Seven Steps to Heaven

 63年4月のロスアンゼルス・セッションと同年5月のニューヨーク・セッションの作品をおさめたスタジオ録音盤。
 オリジナル LP は全6曲入り。(1), (3), (5) は LA 録音のカルテット演奏で、3曲ともスロー・バラード。(2), (4), (6) は NY 録音のクインテット演奏で、アップテンポ中心の選曲になっている。
 LA 録音の3曲はマイルスのトランペットは悪くないのだが、1曲7〜10分もあってだらだら長く感じる。ピアノの音がやけに明るい異色の録音だと思う。
 NY 録音の3曲は、ハービー・ハンコックロン・カータートニー・ウィリアムスという60年代のベスト・メンバーの参加により、切れ味鋭い演奏となった。また、ジョージ・コールマンのテナーは複雑なアレンジの楽曲、速いフレーズを崩さずにきちんと吹いていて、この時期のアンサンブルに貢献している。(コールマンはめったに評価されないテナー奏者だが、こういう丁寧なフレージングは後のサム・リヴァーズやウェイン・ショーターには欠けている部分だと思う。)
 NY 録音3曲のうち、(2) と (6) の作曲者はヴィクター・フェルドマン(1934〜1987)だが、彼はこのセッションには参加していない。ハンコックのほうがピアニストとしては格段に上だからである。フェルドマンはジャズ・ミュージシャンとしては成功しなかった人で、後にはパーカッション奏者として活躍したりという変わった経歴を持っている。
 タイトル曲の (2) はとにかくテーマがかっこいい。かなり複雑な曲だが、ハンコック等のリズム・セクションがばっちりキメていて素晴らしいと思う。
 (7) は (4) と同じ曲を LA セッションのときに録音したヴァージョン。LA セッションの中では、この曲のみジョージ・コールマンが参加したクインテット演奏になっている(コールマンが先発ソロをとるのは珍しいかも)。こちらはシンプルな4ビートだが、NY セッションの (4) では6/4拍子の複雑なアレンジになっている。
 (8) はアルバム "Quiet Nights" 収録済みの同じテイクで、これも LA セッションから。
 音質のほうは、1992年発売米国盤の音が非常に良い。(2005年リマスター盤を試聴したが、違いがよくわからなかったため買い換えていない。)