Miles Davis / Steamin' With The Miles Davis Quintet

Steamin

Steamin

 1956年に行われた 《マラソン・セッション》 の中の1枚。4枚のアルバムのうち一番最後、1961年に発表された作品である。全てのジャズ・レコードの中で、最もジャケット・デザインの優れた一枚だと思う。
 全6曲入り。オリジナル曲はなく、すべてスタンダード・ナンバーまたはジャズ・ミュージシャンの楽曲のカヴァーである。(1) と (4) がミディアム・テンポ、(3), (6) がスロー・バラード、(2) と (5) がアップ・テンポのハード・バップ・ナンバーだ。((3) と (6) はコルトレーン不参加。)
 困ったことに、《マラソン・セッション》 4部作の中で、本作は選曲に難があるのである。ゆったりした曲が多いのに、どう考えてもアップ・テンポの2曲が雰囲気をぶち壊しているのだ。マイルスのレパートリーには、アップ・テンポでもかっこいい曲はいくらでもあるのだが、この2曲に限ってはアレンジが凝りすぎていて、必ず誰かが先走ったり出遅れたりする。ぶっつけ本番のセッションだったため、リハーサルが足りなかったのかもしれない。
 1曲ずつ聴けば決して悪くないのだけれど、(あくまでも他のアルバムと比べて)アルバム単位で聴いた場合、見劣りがしてしまうのである。