Herbie Hancock / Lite Me Up

  • 1981〜1982年録音。
  • Herbie Hancock (key, vo), David Williams, Steve Lukather, Jay Graydon (g), Luis Johnson, Abraham Laboriel, Randy Jackson (el-b), John Robinson, Jeff Porcaro (ds), Paulinho Da Costa (perc), Jerry Hey (tp, horn and strings arrangement), Rod Temperton (rhythm and vocal arrangement), Michael Boddicker (synth, additional synth programming), David Foster (key, vo), Narada Michael Walden (ds, background vocal arrangement), Wayne Anthony, Patricr Rushen (vo), etc.
  • "Magic Windows" までのディスコ路線から一転、クインシー・ジョーンズ・ファミリーのミュージシャンを集めて作ったポップ・ヴォーカル・アルバム。ソウル、R&B から進化して70年代後半に登場したこのような洗練された音楽ジャンルを、日本のジャーナリズムは 《ブラック・コンテンポラリー・ミュージック》 (略称:《ブラコン》)と呼んだ。本アルバムは 《ブラコン》 というジャンルのほぼど真ん中を狙った作品といえる。
  • 全8曲入り(全てヴォーカル曲)。うち6曲をロッド・テンパートンが作曲(共作含む)している。テンパートンは、マイケル・ジャクソン等、クインシー・ジョーンズ関連の楽曲を手掛けた才人だが、本作はほとんど彼の貢献によって成り立っていると言ってよいだろう。
  • (1) はスティーヴ・ルカサーのギターから始まる。このイントロを聴いた瞬間、途轍もない違和感に襲われてしまうのだけど、違和感はアルバムの最後まで続く。もはやジャズやフュージョンではなく、《ポップ》 なのだ。
  • (3) はスティーリー・ダンみたいな曲。シンセ・ソロはハービーではなく、マイケル・ボディッカーが弾いている。
  • (4) と (5) ではハービーが(ヴォコーダーでなく)生ヴォーカルをとっている。ちょっとハービー、どこまで行っちゃうの!? (4) はデヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、ビル・チャンプリンが参加。Airplay そのまんまである。
  • 聴きなおしてみると結構良い曲が揃っているにもかかわらず、本アルバムがコケたのは、『オフ・ザ・ウォール』、『愛のコリーダ』、『エアプレイ』等の先行作品に似すぎていて、それ以上のもの、より新しいものを創り出せなかったのが原因と考えられる。が、それよりも、リスナーがハービーに期待する音楽とかけ離れすぎていたのではないかと思う。