Wynton Marsalis / Wynton Marsalis

ウイントン・マルサリスの肖像

ウイントン・マルサリスの肖像

  • 1981年7〜8月録音。
  • (1), (2) …… Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ss, ts), Kenny Kirkland (p), Clarence Seay (b), Jeff Watts (ds)
  • (7) …… Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ss, ts), Kenny Kirkland (p), Charles Fambrough (b), Jeff Watts (ds)
  • (3)〜(6) …… Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ss, ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)
  • 録音当時19歳のトランペット奏者、ウィントン・マルサリスの初リーダー作。プロデューサーはハービー・ハンコック
  • 全7曲入り。(1), (2), (7) はニューヨーク録音。(3)〜(6) は東京録音と書かれていて、おそらくアルバム "Herbie Hancock Quartet" (プロデューサーはデヴィッド・ルービンソン)と同日のレコーディングであろう。録音のために来日したウィントンの兄、ブランフォード・マルサリスとハンコック・トリオによる5人編成になっている。
  • 繰り返すようだが、ウィントン・マルサリスの音楽は上手いけれども感動しない。若かったからというだけでなく、その後もずっとこの状態が続くのである。(最初から完成度が高かったというのもあるのだが。)
  • 本アルバムはハービーがプロデュースしているにもかかわらず、彼のピアノが活躍する場面が非常に少ない。(3) はピアノ・ソロなし。(4) はハービー不参加。(5) ではピアノはほとんどコードを弾いているのみ。(6) は最初から最後までトランペット・ソロのみ(ブランフォードは不参加)である。
  • ところが、ハービー不参加の (4) が素晴らしいのだ。物凄い速さの4ビート曲(ウィントン作曲のオリジナル)である。マルサリス兄弟のユニゾンによるテーマに続いて、ロン・カーターのベース、トニー・ウィリアムスのブラシが正確に(ほとんど機械のように!)リズムを刻んでいく。トランペットとテナーが交互にソロをとる。途轍もなく緊張に満ちた演奏なのだが、エンディングはユーモアたっぷりだ。全体に散漫なイメージのアルバムなのだけれど、これ1曲で全部持っていってしまう。