V.S.O.P. / The Quintet

  • 1977年7月16日&18日、ライヴ録音。
  • Herbie Hancock (p), Freddie Hubbard (tp, flh), Wayne Shorter (ss, ts), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)
  • 76年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで圧倒的な力を見せつけたクインテットが1年ぶりに再結成、ツアーを行った。同ツアーからは2セットのライヴ・アルバムが発表されたが、本作は U.S. ツアーで録音されたもの。LP レコードのときは2枚組として発売された(CD は1枚になっている)。
  • 全8曲入り。メンバー5人が作曲した曲がそれぞれ1〜2曲ずつ収録されている。
  • (1) と (7) はハバード作曲。彼のソロは自身の曲のときが一番良い。他の曲ではハイ・ノートのソロはかっこいいのだけれど、フレーズがパターン化していて、どれも同じに聞こえる。このグループにとっては一種の飛び道具みたいなものである。
  • (2) と (7) はカーター作曲。数日前に "Third Plane" セッションで録音したばかりの新曲 (2) はやはり名曲。このアルバムで一番印象に残る。彼のベースはピッチが不安定で当たり外れの差が激しいのだが、本作の演奏は当たりだと思う。
  • (3) と (5) はハンコック作曲。"Fat Albert Rotunda" (1969年)に収録されていた (3) を取り上げているが、隠れた名曲だと思う。「処女航海」と「ハリケーン……」を外した選曲も正解。
  • (4) はトニー・ウィリアムス作曲。これも "Third Plane" セッションで録音された新曲。トニーのドラムは暴れすぎることなく、演奏を徐々に盛り上げていく。ドラム・ソロ以降の意外な曲展開が面白い。
  • (6) はショーター作曲。"Miles Smiles" (1966年)収録曲の再演である。ウェイン・ショーターのソロは一見とっつきにくいのだが、構成が熟考されていて一番盛り上がる。(あまり構成を考えないハービーとは対照的だ。)発表当時はこのあたり気づかなかった点なのである。当時のショーターはウェザー・リポートのメンバーとしての活動がメインであり、このようなメイン・ストリーム・ジャズの演奏から離れていたからかもしれない。
  • アルバム全体をとおして、グループとしてのまとまり、演奏のレベルの高さなど、V.S.O.P. クインテットの最高傑作だと思う。