Wayne Shorter / Native Dancer featuring Milton Nascimento

Native Dancer

Native Dancer

  • 1974年9月12日録音。(1975年発売。)
  • Wayne Shorter (ss, ts, p), Milton Nascimento (ac-g, vo), David Amaro (g), Jay Graydon (g, el-b), Herbie Hancock (p, key), Wagner Tiso (key, el-b), Dave McDaniel (b), Roberto Silva (ds, perc), Airto Moreira (perc)
  • ウェザー・リポート結成以降のウェイン・ショーターにとって初のリーダー・アルバム。ブラジルのシンガー・ソングライターミルトン・ナシメントを大々的にフィーチャーしたクロスオーヴァー作品である。
  • 全9曲入り。そのうち、ナシメントは5曲に参加し、楽曲を提供するとともにファルセット・ヴォイスの歌を披露している。ショーターは "Moto Grosso Feio" (1970年)でナシメントの曲を演奏しているが、1970年代当時、ブラジル音楽といえば古典的なサンバやボサノヴァばかりが流行っていて、ナシメントのような同時代のブラジリアン・ポップ・ミュージックは全く知られていなかったため、非常に衝撃的な紹介のされ方をしていたものである。(ジャヴァンやイヴァン・リンスのようなミルトン・ナシメントに続くブラジル・シンガーが本格的に流行したのは1980年代後半のことだから、ショーターの作品は10年以上早すぎたといって良いのかもしれない。)
  • (1), (3), (4), (6), (8) がナシメント参加のヴォーカル曲。(6) だけが新曲で、あとは彼の持ち歌らしい。ポルトガル語の歌詞がついている曲もあるが、スキャットで歌われている部分と区別がつきにくい。メロディもコード進行もきわめて個性的で、不思議な魅力をもったシンガーだと思う。ソプラノを絡ませていくショーターの演奏も絶妙だ。
  • (2) と (7) はハービー・ハンコックのキーボードが絡むファンク・ナンバー。3年前までフリー・ジャズをやっていたとは思えないくらいポップなクロスオーヴァー・ミュージックである。
  • (5) はショーターが多重録音でソプラノとピアノを弾くテンポ・ルバート曲。美しい曲なのに3分で終わってしまう。
  • (9) はハンコック作曲。ハンコックのピアノとショーターのソプラノを中心にしたテンポ・ルバート曲。ジョン・コルトレーンの "Welcome" にちょっと似ている。
  • 1970年代前半のウェザー・リポート作品は今聴くとさすがに古い感じがするのだが、本アルバムはいつまでも古くならない。名作・名盤だと思う。2008年リマスター盤の音質も非常に満足。