レイモンド・チャンドラー 『高い窓』

 1942年に発表された私立探偵フィリップ・マーロウもの長編第3作。清水俊二訳だが、翻訳完成前に訳者が死去したため、戸田奈津子が完成させたという本である。
 ハードボイルド小説といえば、派手なアクションとタフな主人公と相場が決まっているのだけれど、ドンパチはほとんどないし、何より悪役が小者である。したがって、マーロウの活躍も地味なのだ。読み終わってみれば、それなりに練られたストーリーだと思うが、こういう話だったらマーロウじゃなくても良いのではないか。
 正直言って、後半になっても話が盛り上がらないので、読むのに難儀した。

高い窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

高い窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫)