キング・クリムゾン/ヘヴィー・コンストラクション


  • 2000年発表の3枚組ライヴ・アルバム。"Heavy ConstruKction"。
  • メンバーは、エイドリアン・ブリュー(g, vo)、ロバート・フリップ(g)、トレイ・ガン(touch tuigar, b)、パット・マステロット(el-ds)。
  • 2000年5〜7月のヨーロッパ・ツアーからピックアップしたライヴ盤。CD1 & 2 には通常のライヴ演奏が収録され、CD2 には45分間の映像*1 が収録されている。また、CD3 はライヴのインプロヴィゼーション演奏や MC などをサンプリング・編集したサウンド・コラージュ作品*2 が収録されている。
  • CD1 & 2 の演奏は、1990年代のレパートリーと前作 "The ConstruKction Of Light" からの楽曲に限られ、80年代以前のレパートリーはついに切り捨てられた。それでも、出来の良かった前作の楽曲を中心に、聴きごたえのある演奏を聞かせている。(ただし、本アルバムはヴォーカルがダメ。)
  • CD1 & 2 のミキシングは他のライヴ盤に比べると、残響音を除き、楽器の音がセンターに集中していて、音が塊状になって聞こえる。CD3 のほうがステレオ音響的には聴きやすいと思う。
  • ただし CD3 のサウンド・コラージュは相変わらず単調で退屈。2枚組 CD のオマケ程度だと思ったほうが良い。もっとも、ユーモアの感覚は今までになかった部類のもので、演奏中のフラッシュ撮影に怒って演奏を中断したロバート・フリップの MC "Once again gentlemen, pass me his camera!!" (彼のカメラをこちらによこしなさい)をそのままサンプリングのネタにしてしまったところなど、非常に面白い。
  • 上の動画は、CD2 に収録されている2000年6月23日のライヴ映像。
    • 映像の収録曲は、(1) Improvisation, (2) Larks' Tongues In Aspic IV, (3) Cage, (4) The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum, (5) Sex Sleep Eat Drink Dream, (6) VROOOM。ステージにほとんど照明が当たらず、暗い映像である。
    • 動画の2曲目の後、19:30〜のところでロバート・フリップが客席に向かって「写真を撮らないでください」と言っているが、その間にもフラッシュが光り、険悪な雰囲気になる。その後、エイドリアン・ブリューがフォローして笑いをとる場面がいい感じである。
    • 20:22〜動画の (3) は、エイドリアン・ブリューアコースティック・ギターで物凄いフレーズを弾きながら歌っている!
    • 動画の (6) は、41:15〜のところでエイドリアン・ブリューがギターのリフの入るタイミングを派手に間違えて、笑っている。
  • CD のほうのもう一つのトピックは、CD2 の最後に収められているデヴィッド・ボウイのカヴァー、"Heroes" であろう。(下の動画参照。YouTube のは音質が悪いけど。)1977年のボウイのアルバムのタイトル曲で、原曲のギターをロバート・フリップが弾いていたわけだけれども、2000年のクリムゾンがまさかのカヴァーである。

Heavy Construkction

Heavy Construkction

Heroes

Heroes

*1:この映像、Windows7 のパソコンでは再生できないようだ。YouTube で視聴するほかないのだろうか?

*2:キング・クリムゾンと同一メンバーだが、事実上 ProjeKct X の作品になっている。