アバド/マーラー 『交響曲第6番 《悲劇的》』

Gustav Mahler: Complete Editionより。
 クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。2004年ライヴ録音。演奏時間約79分。
 1904年に完成された交響曲で、ハンマーなどさまざまな打楽器を使用し、リズムを主体にした重厚な楽曲になっている。
 以下の映像は第1楽章より。アバド指揮、ルツェルン祝祭管弦楽団の2007年の演奏。(音質が良くないのが残念。)

 アバドは2000年頃に胃癌を患ってから、すっかり痩せてしまったが、演奏はちっとも衰えていない。そればかりか、ヴェルディの 『レクイエム』 のような激しい曲を積極的に演奏するようになり、ますます充実しているようである。
 上の第1楽章も最初からがんがん飛ばしている。また、彼の 《悲劇的》 は第2楽章と第3楽章の順序を入れ替えて演奏するという特徴があり、穏やかなアンダンテ・モデラート楽章を2番目に持ってくることによって、全体がだれずに引き締まった印象を与えることに成功している。(CD もこの順序で収録されている。)
 そして、以下は30分近い最終楽章の終りの部分。

 4:18 で演奏は終了するのだが、その後なんと40秒間にわたって沈黙が続くのである。聴衆が全員圧倒されて、会場が静まり返ってしまったのだ。ブラボーなどと叫ぶ野暮なやつは一人もいない。そして湧き起こる大きな拍手に、この演奏の凄まじさをうかがうことが出来よう。