シノーポリ/マーラー 『交響曲第7番 《夜の歌》』

Gustav Mahler: Complete Edition より。
 ジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)指揮、フィルハーモニア管弦楽団演奏。1992年録音。演奏時間約87分。
 1904〜1905年に作曲された交響曲で、5つの楽章から構成される。《夜の歌》 という副題のついた第2楽章と第4楽章をはさんだ最初の4つの楽章は暗く、ときに不気味に、あるいは鬱々としている。ところが、最後の第5楽章では突然、明るいアップテンポになり、最後までハイテンションのまま突っ走る。全体の構成がきわめてアンバランスなのだけど、そういうアンバランスな面をどのように解釈し表現するかが、指揮者の腕のみせどころになっているのである。
 シノーポリ盤は、第1楽章の出だしなど実に不気味なところを丁寧に演奏しているのだが、肝心の第5楽章はテンポが速すぎて、アンサンブルが乱れてしまい、オーケストラ全体が混乱に陥っている部分が何度もあってちょっと残念であった。シノーポリマーラーは第2番がなかなか良いと思うのだけど。
 口直しに YouTube で見つけたハイティンクベルリン・フィルによる第5楽章の冒頭部分を聴いてみよう。2009年のライヴ録画である。

 一糸乱れぬとは、このような演奏のことであろう。音質が良いので、ヘッドホンでぜひ聴いていただきたいと思う。