ブーレーズ/マーラー 『交響曲第4番』

Gustav Mahler: Complete Editionより。
 ピエール・ブーレーズ指揮、クリーヴランド管弦楽団演奏。1998年録音。
 1900年に完成し、翌年に初演された交響曲で、演奏時間は53分と最も短い。4つの楽章からなるが、一番長い第3楽章にクライマックスが置かれ、ソプラノ歌唱入りの短い第4楽章がアンコールというかオマケみたいについているように聞こえる。だが、実際はこの第4楽章が最初に完成し(交響曲第3番の一部として構想されたらしい)、他の楽章はあとから作られたようである。
 第3楽章(20分もある)は前半、美しい弦楽合奏から始まる。この部分は後に発展し、有名な交響曲第5番 第4楽章(アダージエット)において完成をみた曲想である。しかし、曲が長すぎて、途中で眠くなった頃、唐突にクライマックスを迎えて、いきなり終わってしまう変な曲だ。
 第4楽章は歌の部分は美しいのだが、管弦楽はなんだかよくわからない。最後はピアニッシモが続いていつの間にか終わるので、コンサートのときはどこで拍手したらよいのかわからない、変な終わり方の曲である。(バーンスタインの演奏を YouTube で見たが、指揮者がお辞儀するまで誰も拍手しない。)
 ブーレーズの演奏は、ストラヴィンスキーのときのようにソリスト一人ひとりにスポットライトを当て、細部をくっきりと浮かび上がらせている。僕が持っているショルティ盤では絶対に見られない対照的な響きである。Amazon のレビューにだまされてはいけない。こういうのを名演奏というのだ。


 CD には、『葬礼』(交響曲第2番《復活》第1楽章初稿)が収録されている。指揮者は同じくブーレーズシカゴ交響楽団の演奏で、1996年の録音。こちらは退屈なだけの駄作だった。