ハイティンク/マーラー 『交響曲第3番』

Gustav Mahler: Complete Editionより。
 ベルナルド・ハイティンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏。1966年録音(グラモフォンのマーラー全集の中では一番古い録音である)。
 1896年に完成した交響曲で、全曲初演は1902年。6つの楽章から構成され、演奏時間は100分近い。(以前はギネスブックに載っていたそうである。)もちろん、マーラーの作品中、最も長い楽曲である。
 ハイティンクの演奏は、ケン・ラッセル監督の映画 『マーラー』(1974年)に使用されている。以下の映像は映画の冒頭部分より。

 1:03 から始まる 「繭の中から全身タイツのお姉さんが出てくる場面」*1 、および 8:05 からの 「顔にストッキングを被った男装のアルマ・マーラーが登場する場面」に用いられているのが、交響曲第3番 第1楽章である。中間の 5:13 からの場面には、交響曲第5番 第4楽章が流れ、『ヴェニスに死す』 へのオマージュにもなっている。僕は 『マーラー』 という映画が大好きなのだけれど、最初の10分間を見てわけがわからないというひとは、この映画を見るべきではないと思う。
 音楽に関していうと、とにかく長すぎる。第2楽章や第4楽章はなくてもよいのではないか。ハイティンクという指揮者はまじめな人で、可もなく不可もない演奏なのだが、聴いていると第1楽章で精力を使い果たしてしまい、あとはどうでもいいような気分になってくるのである。

*1:このゼンタイ、ファスナーも縫い目もないのだ。どうやって着るんだろう?