クーベリック/マーラー 『交響曲第1番 《巨人》』

Gustav Mahler: Complete Editionより。
 ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団演奏。1967年録音。
 グスタフ・マーラー(1860-1911)の記念すべき 『交響曲第1番』 は1888年に完成し、その後、何度か改訂が重ねられ、現在の形になったのは1896年のことである。最初の交響曲でありながら内容は非常に充実しており、わかりやすい旋律と陰影に富んだ曲想によって人気の作品となっている。演奏時間(約55分)も後のマーラー作品に比べると長すぎず、よく演奏・録音される楽曲といえるだろう。

 上の演奏は第3楽章。葬送行進曲のパロディである。主題の旋律は、フランスの民謡*1短調にしたもの。
 クーベリックの演奏は、はっきりいって地味(ドヴォルザークモーツァルトは素晴らしいと思うのだけど)。この曲の演奏によく用いられるユーモアやデフォルメの要素が全くなくて、ひたすら真面目に演奏している。

「花の章」

 本 CD には 「花の章」(Blumine, Andante allegretto)と呼ばれる楽章が収録されている。交響曲第1番の第2楽章として作曲され、のちに削除された草稿版といわれる楽章で、楽譜は紛失されたと思われていたが、第二次世界大戦後に発見され、1967年に初演されている。
 本 CD に収録されているのは、小澤征爾指揮、ボストン交響楽団による1977年の録音。初めて聴いたのだけど、なかなかきれいな曲だと思った。

*1:日本では「グーチョキパーで何つくろう」という歌詞の童謡として知られている。