ライオネル・ハンプトンとチャールズ・ミンガス
ヴィブラフォン奏者、ライオネル・ハンプトン(1908-2002)は1930年代から活躍したジャズ・ミュージシャンで、主にビッグバンドのリーダーとして人気を博した。晩年には何度も来日し、ジャズ・フェスの常連として、あるいはテレビに出演したりして、日本でも相当知名度があったひとである。
以下の映像は1953年の演奏。前半はいわゆるジャム・セッションと呼ばれるもので、コード進行だけ決まっている完全なアドリブである。後半、管楽器のアンサンブルが入ってくるが、割と大雑把なアレンジだ。
よく見ると、右から二番目のトランペット奏者がアート・ファーマーである。YouTube のコメント欄を読むと、ほかにもクインシー・ジョーンズとクリフォード・ブラウンがいるのではないかと書かれている(これは真偽不明)。ものすごい豪華メンバーを揃えたようにみえるが、もちろん当時はみな無名の新人だったのだ。
50年代前半というのはこういう古いスタイルのビッグバンドは廃れていた時期なので、この時代の演奏はきわめて貴重だと思う。
次は珍品。ハンプトンがピアノを弾いている演奏。
田口浩正みたいな感じの Milt Buckner というピアニストとハンプトンの連弾だが、ハンプトンは両手の中指だけを使ってピアノを弾いている。ほとんど曲芸のようなすさまじい演奏だが、彼の中指ピアノは必ずステージで1曲披露されていたのだ。あと、ドラム・ソロも必ずやっていた。(若い頃はヴォーカルもやってた。)
だがこういう演奏は、映像がないとどこがすごいのかさっぱりわからない弱みがある。
ライオネル・ハンプトンのブギウギ・スタイルを受け継ぎ、より洗練された形に完成させたのが、チャールズ・ミンガス(1922-1979)であった。彼は1940年代にハンプトンのバンドでベースを弾いていたことがあり、ハンプトンの影響を強く受けている。
以下の演奏は、1959年録音の "Better Git It In Your Soul" (YouTubeの曲名は間違い)。
ものすごい速さの3拍子のブルースである。途中の手拍子の雰囲気などハンプトンそのままだと思う。あと、ドラムが全体を引っ張っているのが楽しい。
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