カラヤン/ブラームス 『交響曲第2番』
ブラームスの 『交響曲第2番』 は1877年に作曲された。若い頃に着想し20年をかけて完成させた 『交響曲第1番』 の翌年のことで、わずか4カ月で作曲したのだという。ブラームスは当時44歳。音楽家として最も充実した時期であり、この作品は彼の管弦楽曲の中でも最高傑作の一つといえる名曲である。
以下の映像はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。1986年の録音である。
まずは第1楽章を聴いてみよう。*1
弦の低音とホルンの静かな序奏がしばらく続く。続いて、1:30 から25秒も続く長いクレッシェンド(次第に強く)で全体を徐々に盛り上げて行き、最初のクライマックスへ到達する。カラヤンはこういうクレッシェンドが実に旨く、何度聴いてもわくわくする。クレッシェンドの始まる直前に、一瞬スッと音を小さくしているのがおわかりいただけるだろうか。カラヤンという人はスポーツカーが好きだったそうだが、クルマでいうとシフトダウンして一気に加速するような感じの演奏なのだ。もう、かっこいいとしかいいようがない。
続く第2楽章はチェロの旋律から始まる。美しいメロディだが、同時にどこかで不協和音が鳴っている。明と暗、光と影が混在しているようなブラームス独特の音の世界だ。カラヤン得意のレガート(なめらかに)奏法が効果的な楽章である。
1980年代に広まったデジタル録音技術は極限まで小さな音を再生可能にした。また相当大きな音を出しても歪みにくい音質が確保された。このテクノロジーはオーケストラによる(ディスク上の)表現方法を大きく変化させ、特にカラヤンは自らの指揮法にも強弱の差による演奏表現を積極的に取り入れている。
第3楽章はオーボエのメロディとチェロのピチカートから始まる。オーケストラの音は最強と最弱を繰り返しながら進んでいく。
アレグロ(速く)のドラマチックな第4楽章。間に木管楽器のソロを挟みながら、次第に最後の山場へ向けて突っ走る場面である。1:16 からのクラリネット独奏はカール・ライスターだろうか。あっという間に終わってしまうのだけど、素敵なソロだと思う。そして、コーダ(終結部)はこれでもか! というほどの盛り上がり方である。
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