セーラー万年筆 「名作ふたたび」 のプレスリリースがひどすぎる件

セーラー万年筆、文学作品を朗読音声で楽しめる読書ペン「名作ふたたび」を発売 - 日経プレスリリース
 「文学作品を朗読音声で楽しむことができる読書ペン『名作ふたたび』」 という新商品のプレスリリースがめちゃくちゃな内容になっている。現在、メーカーセーラー万年筆 |公式ウェブサイトのサイトには記述が見当たらないので、2010年1月29日付日経プレスリリースから引用する。

【収録作品】(一部)
 太宰治走れメロス」「人間失格」他/森鴎外山椒大夫」他/松尾芭蕉奥の細道」/鴨長明方丈記」/宮沢賢治風の又三郎」「注文の多い店」他/織田作之助夫婦善哉」他/有島武郎一房の葡萄」他/魯迅「阿Q正伝」他/小泉八雲「耳無法一の話」/エドガ・アラン・ポー「黒猫」/林芙美子「婚期」他/梶井基次郎檸檬」/岡本綺堂「弁天娘」他/グリム童話「白雪姫」他/芥川龍之介羅生門」「鼻」他/夏目漱石「坊ちゃん」「草枕」他/与謝野晶子「私の貞操感」他/高村光太郎「人の首」/島崎藤村「刺繍」/直木三十五「貧乏一期二期三期」/寺田寅彦「どんぐり」他/中原中也「みちこ」/夢野久作「若返りの薬」/泉鏡花「外科医」他/新実南吉「ごんぎつね」他/やすらぎのピアノ演奏(水城雄)

 作品自体は有名なものとほとんど知られていないようなものが混ざっているようだが、作家の名前くらいは多くのひとが耳にしたことがあるだろうラインアップだ。だが、間違いが多すぎるのである。以下、気がついたものを列挙する。(コメント欄でご指摘いただいたものを追加しました。)

 漱石の 『こころ』が 『こゝろ』、『心』 と表記されるケースもあるので、ひょっとしたら上に挙げた中に底本出版時の表記違いや別バージョンが存在する可能性もあるが、いくらなんでも誤記が多すぎる。
Errors | 日刊工業新聞 電子版
 日経だけでなく日刊工業新聞の記事も同様の記述になっているようだから、新聞社が間違えたわけではなく、メーカーの責任だろう。なんとなくパチモンをつかまされそうなイメージがあるので、セーラー万年筆株式会社は記述内容を確認の上、訂正をお願いしたいと思う。
 ついでに書くと、島崎藤村は明治45年に短編小説 「刺繍」 を発表しているので間違いとは断定できないのだが、「詩集」 ではないのかどうか確認していただきたい。