バックハウス/ブラームス 『ピアノ協奏曲第2番』

ヴィルヘルム・バックハウス - Wikipedia


ある時記者が、バックハウスに余暇の過ごし方や趣味について尋ねた時には、「暇な時はピアノを弾いていますが」と答えたという。

 ヴィルヘルム・バックハウス(1884-1969)というピアニストを知ったのは、池田理代子のマンガ 『オルフェウスの窓』 だった。(確かベートーベンの 『皇帝』 を演奏する場面があったような気がする。)その後、レコードで何枚か彼のピアノを聴いたが、かなり堅苦しくて、なんとなく疲れてしまうようなイメージがあって、正直、僕は長い間、バックハウスを避けていた。
 だが、カール・ベーム指揮のウィーン・フィルと共演したブラームスは素晴らしかった。

 第1楽章は、ホルンとピアノの対話から始まる。木管楽器の応答に続いて、弦楽器が響く。この穏やかな冒頭部分を、これほど丁寧に、心を籠めている演奏を、僕はほかに知らない。そして、もちろんウィーン・フィルの弦は狂おしいほどに美しい。


ブラームス:ピアノ協奏曲第2番/モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番/モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番

 このレコードが録音(1967年)された時、バックハウスは83歳、ベームは72歳だったというのが信じられない演奏だ。