診断

ようこそマシーンへ の続き。
 MRI の結果を聞くため、病院外来受診。昨今、ほとんどの病院職員は感染予防のためマスクを着用しているのだが、主治医のドクター・ヴァレンティーニはそんなものは付けず、自慢の口ひげをなでている。彼は、骨棘(こっきょく)というトゲ状の突起が出来ていて、手術で除去することによって痛みを軽減することが出来るだろう、と診断を下した。

「手術はいつごろできそうですか?」
「あすの朝だな。それ以前はだめだ。それまでに、胃袋をからっぽにしとかなきゃいかん。きれいに洗浄しておくことだ。……」


 ヘミングウェイ武器よさらば』 第二部 第十五章

 いくらなんでも明朝というわけには行かなかったのだが、来年早々に入院が決まった。『武器よさらば』 によれば、僕の手術は成功し、入院中は美人看護婦とヤリまくり、ミラノの街を飲み歩き、スイスに亡命して山荘で春先まで過ごす予定である。
 もとより命に関わるような病状ではなく、手術だって過去に何度も経験しているのだから、心配はしていない。むしろ、具体的な治療方針が定まったことで、一安心という心持である。
 そんなわけで、前線復帰はまだしばらく先になりそうだ。