第6講 夏目漱石『三四郎』(2)

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講義ノート

 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。

  • 漱石について書いた人
  • 虞美人草
    • 明治40年新聞連載。
    • 三越では「虞美人草浴衣」が売り出された。それくらい人気があった。
    • 虞美人草とはポピーの意。
    • 項羽と劉邦の伝説。四面楚歌。
    • お家騒動。悪女が登場して、お家乗っ取り。勧善懲悪。
  • 『坑夫』
  • 三四郎
    • 明治41年9〜12月、新聞連載。
    • 1994年、江藤淳が学会で発表したこと。(本に書いたかどうか不明。)
  • 小説に描かれた年代について
    • 一般には、新聞連載と同時進行とされている。
  • 主人公について
    • 三四郎には兄弟がいない。
    • 父親が出てこない。
    • 実家は豪農。地代で生活している。
  • 汽車の場面について
    • 「あなたは余っ程度胸のない方ですね」……イニシエーション
    • こんな女はいない。売春目的ではなかろう。
    • 広田先生……岩元禎がモデル。しかし、漱石より年下である。「偉大なる暗闇」。
  • 日露戦争……1904〜1905年
  • 「亡びるね」
  • 登場人物
    • 野々宮宗八
    • 野々宮よし子
    • 里見美禰子
    • 里見恭助(美禰子の兄。ほとんど登場しない)
    • 佐々木与次郎
    • 広田萇(ちょう)
    • 原口
    • 親が出てこないのが特徴。(トレンディドラマのように。)
    • 下宿は本郷あたり。
  • 池のほとり
    • グルーズ……19世紀の画家
    • 美禰子は23歳。三四郎と同い年。
  • 9〜12月の出来事を描いている。新聞連載と同時進行。
  • ライスカレーが出てくる。安っぽい食べ物ではなく、当時は最先端のハイカラな食べ物だった。
  • 美禰子も那美(草枕)も、やたらと男を誘惑する。
    • 村上春樹の小説にも、男を誘惑する女性が多い。精神を病んだ女だと思うが、村上は若い頃、そういう女性とつきあった経験があったのだろう。
  • 朝日新聞について
  • 当時の学校は9月始まりだった。4月始まりになったのは大正。
  • 女の轢死
  • 三輪田の御光さん……田舎娘を連想させる名前。
    • しかし、漱石は福岡へ行ったことがなく、適当に書いている。
  • アフラ・ベーン……17世紀の女性作家。『オルノーコ』(岩波文庫)は面白くはない。
  • 精神を病む、というのは現代のことだと思われているが、そういうのは昔からあった。ストレスも昔からあった。
  • 漱石の女嫌いについて
    • 「女が偉くなると、こういう独身ものがたくさんできてくる」という原口の科白。
  • 雲の形……シェークスピアに、そのままの会話が出てくる。
  • 男は、美人を見たら些細なことで誤解する生き物である。

次回

  • 女は罪。
  • 美禰子はいかにして、三四郎を誤解させたか。