島崎藤村 『春』

春 (新潮文庫)

春 (新潮文庫)

  • 作者の自伝的小説なのだが、主人公が登場しない場面も結構多い。視点がころころ変わるので、やや不安定な感じがする。
  • 先輩かつ友人の青木の存在感が圧倒的。主人公を凌ぐのではないか。
  • 青木のモデルとなった詩人・評論家の北村透谷の著した作品がまるまる引用されていたりする。
  • 青木が自作の新体詩を大きな声で吟ずる場面が出てくる。どんな雰囲気だったんだろう? こればかりは、文章からわからない。
  • 藤村たちがやっていた同人雑誌に寄稿していた樋口一葉が、ちょっとだけ登場する。
  • 若い女が髪を丸髷に結う、というのは結婚するという意味である。こういう表現については注釈がほしいと思った。
  • 後半、主人公が昔を回想する場面は静かに感動した。

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