Miles Davis / Circle In The Round
- アーティスト: Miles Davis
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1990/12/29
- メディア: CD
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- CD 1-(4) "Circle In The Round" …… 1967年12月4日録音。Miles Davis (tp, chimes, bells), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (celeste), Ron Carter (b), Joe Beck (g), Tony Williams (ds)
- CD 2-(5) "Sanctuary" …… 1968年2月15日録音。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), George Benson (g), Tony Williams (ds)
- CD 2-(6) "Guinnevere" …… 1970年1月27日録音。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Bennie Maupin (b-cl), Joe Zawinul, Chick Corea (el-p), Dave Holland (b), Harvey Brooks (el-b), Jack DeJohnette, Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc), Khalil Balakrishna (sitar)
マイルスが体調不良のため活動を停止していた1979年に 《未発表録音集》 として発売されたオムニバス盤。1955〜1970年に録音された未発表曲、未発表テイクを10曲収録した2枚組 CD である。のちに CD BOX に収録されたり、他の CD のボーナス・トラックとして発表されたりしたため、このアルバムでしか聞くことができない曲はなくなってしまったようだが、廃盤 CD の中では本作は比較的簡単に入手できる(国内紙ジャケット盤は今でも CD ショップで見かける)。
とはいうものの、他の項で触れた曲も多いので、3曲だけレビューを書いておくことにしたい。
CD 1-(4) はリズム・ギターにジョー・ベックを加えたセクステットによる演奏。12/8拍子のリズムが延々と26分間続く単調な曲である。途中に何ヶ所か明らかに編集した形跡があるので、おそらく複数のテイクをつないで長く見せかけているのだろう。ハービー・ハンコックが弾いているのはチェレスタという鍵盤楽器で、オルゴールの音に似ている。
CD2-(5) は "Bitches Brew" のラストに収められていた曲のアコースティック・ヴァージョン。こちらのヴァージョンのほうがメロディがわかりやすく、整っている感じがするが、例のクライマックスがない。のちにクライマックスのパートが追加されて、69〜70年頃のライヴで頻繁に演奏されるようになったが、これはその原型である。
CD2-(6) はデヴィッド・クロスビー作曲。クロスビー・スティルス&ナッシュのカヴァー曲である。管楽器は原曲のコーラスのアレンジをほとんどそのまま演奏しているのだが、バックにシタールが加わってすっかりインド音楽風になっている。(この時期の演奏で、僕はこれが一番好き。)
Miles Davis / Directions
- アーティスト: マイルス・デイヴィス,ウェイン・ショーター,スティーヴ・グロスマン,ジョン・マクラフリン,ハービー・ハンコック,ロン・カーター,アイアート・モレイラ,フランク・バトラー
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2001/07/18
- メディア: CD
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- CD 1-(6) "Fun" …… 1968年1月11日録音。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (el-harpsichord), Ron Carter (b), Tony Williams (ds), Bucky Pizzarelli (g)
- CD 1-(7), (8) "Directions I & II" …… 1968年11月27日録音。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Joe Zawinul, Herbie Hancock, Chick Corea (el-p), Dave Holland (el-b), Jack DeJohnette (ds)
マイルスが体調不良から復帰する直前の1981年に 《未発表録音集》 として発売されたオムニバス盤。"Circle In The Round" の姉妹編的な内容で、1960〜1970年に録音された未発表曲、未発表テイクを12曲収録した2枚組 CD である。のちに CD BOX に収録されたり、他の CD のボーナス・トラックとして発表されたりしたため、このアルバムでしか聞くことができない曲はなくなってしまったようだが、本作は2001年に出たリマスター盤が現在でも Amazon で入手できる。
CD 1-(6) は4分08秒の曲。マイルスは冒頭10秒ほどの短いテーマ(これがやたらと明るくてマイルスっぽくない)を吹いたあと引っ込んでしまい、再び登場しない。アドリブ・ソロは全部ウェイン・ショーターが吹いている。バッキー・ピザレリというギタリストが加わっているが、最初から最後までベースとユニゾンのフレーズを弾いている(つまり譜面どおりに演奏していることになる)。最後は尻切れトンボのまま終わってしまう。中途半端な曲だが、ショーターのソロが冴えていて、気持ち良い。
CD 1-(7) はジョー・ザヴィヌル作曲の激しいロック・ビートの曲。出だしがかっこいいのだが、最後は演奏中断みたいな終わり方である。
CD 1-(8) は (7) の別テイク。管楽器のイントロがついているが演奏時間は短く、こちらも演奏を中断している。この曲は69〜70年のマイルスのライヴのオープニングで必ず演奏されるようになった。また、初期のウェザー・リポートもライヴで取り上げていた曲である。
Miles Davis / Live at The Fillmore East (March 7, 1970) It's About That Time
Live at The Fillmore East (March 7, 1970) It's About That Time
- アーティスト: Miles Davis
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2001/08/22
- メディア: CD
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- 1970年3月7日録音。
- Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b, el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (perc)
《フィルモア》というコンサート・ホールは二つ存在した。片方はニューヨークの 《フィルモア・イースト》、もう片方はサンフランシスコの 《フィルモア・ウェスト》 という名称だった。いずれもプロモーター、ビル・グラハムによって1968年に開設され、1971年に閉鎖されている。《フィルモア》は「ロックの殿堂」と呼ばれ、ジミ・ヘンドリックス、オールマン・ブラザーズ・バンド、ジェファーソン・エアプレイン、ジョン・レノン等々、当時の人気アーティストが毎晩ステージを賑わせていた。
本アルバムは、マイルスがフィルモア・イーストに初出演した1970年3月6〜7日のうち、2日目のステージの演奏を収録した2枚組ライヴ盤。以前からブートレッグが出回っていたらしいが、2001年にソニーから公式に発売された。
ロック専門のコンサート会場に、ジャズ・ミュージシャンが殴り込みをかけた、という話になるのだが、2日間のメイン・アクトはニール・ヤング&クレイジー・ホースである。マイルスは前座扱いだったのだ。*1 ニール・ヤングとは客層が違うんじゃないかと思うけれども、昔のロック・ファンはジャンルにこだわらずに何でも聴いたから、意外と平気だったのかもしれない。
さて、3月7日のステージは 1st セットと 2nd セットに分かれていて、それぞれ約45分が CD 1枚ずつに収録されている(このため、何曲か重複している)。メンバーは 《ロスト・クインテット》 にパーカッション奏者のアイアート・モレイラが加わった6人編成だが、69年のクインテットに比べると、デイヴ・ホランドはエレキ・ベースを弾いているし、全体にロック色が強い演奏になっていると思う。
CD 1-(1) はフェイド・インで始まって早々、ホランドのベースのものすごいリフにやられる。チック・コリアのエレピはリング・モジュレーターがかけられて、歪んだ音を出している。また、この日はウェイン・ショーターが参加した最後のステージだったとのこと。しばらくやる気のなさそうだったショーターも、今夜ばかりはと燃えているようだ。
CD 1-(3) は冒頭のテーマに、ものすごいブレイクがあって驚く。マイルスはハイトーンを連発して、ほとんど絶叫調だ。
CD 2 は前半にくらべて、かなり前衛的な演奏が続く。演奏終了後、司会者のビル・グラハムが "Miles Davis Quintet!!" と言っているのが聞こえるんだけど、一人足りないじゃないか。誰か死んだのか。(死んでない。)
*1:スティーヴ・ミラー・バンドの前座だったという説もある。もしかしたら3部構成だったのかもしれない。