Thelonious Monk / Monk.

Monk

Monk

  • (7) …… 1964年3月9日録音。
  • (1), (4) …… 1964年10月6日録音。
  • (3) …… 1964年10月7日録音。
  • (2), (5), (6) …… 1964年10月8日録音。((10) …… 録音年月日不明。)
  • Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), Larry Gales (b), Ben Riley (ds)

 1964年のスタジオ録音アルバム。ベースがラリー・ゲイルズに交代したが、このメンバーのまま68年まで不動のまま活動した。
 オリジナル LP は全7曲入り。2002年リマスター盤は3曲追加されている。(3), (6), (7) はモンク作曲のオリジナルで、そのうち (3) と (7) が新曲である。上述のとおり、録音日付が不明な曲があり、また (7) はクレジットされた日付のとおりだとすると、ベーシストは前任の Butch Warren が弾いていることになる。と、よくわからない部分もあるのだが、とにかく前作 "Monk's Time" の延長線上のアルバムであるといえよう。
 (1) "Liza" は "The Unique" (1956年録音)以来の再演となるガーシュウィン作曲のカヴァー。アップ・テンポでめちゃめちゃかっこいい。前半のチャーリー・ラウズのソロはやや抑えた演奏で、スタン・ゲッツみたいな音がする。中間部にモンクの分散和音のソロをはさんで、再びラウズのソロ。今度はパワー全開、ぶっ飛んでいる。
 (2) "April In Paris" は前半ピアノ・ソロ。途中からカルテットになる。ラウズのバラード演奏も光っているのだけれど、ライリーのドラムは軽すぎるのではないか。
 (3) "Children's Song" はなんと童謡。わずか8小節の曲(チューリップに似ている)を繰り返すだけのシンプルな構成で、ゲイルズのベースがかっこいい。後半のモンクのソロは後ノリで素敵だ。
 (4) "I Love You" はピアノ・ソロ曲。出だしはスローだが、途中からミディアム・テンポのストライド・ピアノになる。なお、(1) と (4) は同日録音だが、ピアノのチューニングがずれていて、ホンキートンク風な音になっている。
 (5) "Just You, Just Me" はミディアム・テンポのスタンダード曲。ラウズのソロのとき、バックで叩きつけるようにコードを弾くモンクが異様にすごい。
 (6) "Pannonica" は本作中、唯一のハズレ。ラウズのテナーはピッチがずれすぎていて、ミスも多い。別テイクの (9) も似たような出来である。どうして、"Monk's Time" のときのテイクを採用しなかったのか。(前作のとき録音されたテイクはボツになり、CD のボーナス・トラックとして陽の目をみたのだ。)
 (7) "Teo" は渋めのオリジナル曲。どちらかというとジャム・セッション風の演奏である。
 ボーナス・トラックのうち、(10) は "Just You, Just Me" を演奏しているうちに、途中から "Liza" がまざってしまう、という不思議な作品。こういうハプニングも聴いていて楽しくなる。