Miles Davis / Doo-Bop

Doo Bop

Doo Bop

  • 1991年録音。
  • Miles Davis (tp), Easy Mo Bee (programming, sampling, rap), J. R., A. B. Money (rap)

 1992年に発表されたアルバム。HIP-HOP のプロデューサー、イージー・モ・ビーとマイルスの共演作品であり、実質的にマイルスの遺作となったアルバムである。
 シーケンサーを使ったプログラミング、サンプリングという手法で統一された作品になっていて、マイルスはソロをオーバーダビングするだけ、かと思っていたら、マイルスのソロが先にあって後から曲をつけたものが含まれているようだ。(どの曲がどういう風に作られたのか、CD を聴いてもまったくわからない。それくらいレベルが高い。)
 全9曲入り。HIP-HOP なんてどれも似たような曲だろうと思うと、これが大違いで、どの曲も非常に良く出来ている。マイルスのソロも1曲ずつちゃんと区別できる。本作に比べたら、"Tutu" や "Amandla" の収録曲はどれも似たり寄ったりだろう。マイルスもそれだけ力を注いでいたにちがいない。(だが、アルバム完成を前にして、彼は亡くなったのである。)
 イージー・モ・ビーとはどんなアーティストなのか、他の作品がまったく紹介されないため、さっぱりわからない。彼のラップが入っている曲が3曲含まれているが、どちらかというとユルい感じのラップである。なお、3曲とも歌詞にマイルスが登場し、マイルスを称える内容になっている。海外のレビューで本作に対する評価が決して高くないのは、そのあたりに原因があるのかもしれない。
 サウンドは低音を強調した90年代特有のものであり、今聴いても古くない。最晩年のマイルスのトランペットはもちろんかっこいい。