Miles Davis / Decoy

Decoy

Decoy

 1984年に発表されたスタジオ&ライヴ録音アルバム。全7曲のうち、(5) と (7) がモントリオール国際ジャズフェスティヴァルにおけるライヴ録音で、その他がスタジオ録音。
 (1)〜(3) はロバート・アーヴィングが作曲(またはマイルスとの共作)、(5)〜(7) はジョン・スコフィールドが作曲(または共作)している。(4) はマイルス作曲だが、彼はシンセを弾き、ベース、ドラム、パーカッションとのカルテット演奏である。
 ベースのダリル・ジョーンズとソプラノ・サックスのブランフォード・マルサリスは新加入。ビル・エヴァンスはライヴの2曲に参加。ほか、曲によって参加メンバーが異なるのだが、全ての曲に参加しているのはマイルスとミノ・シネルだけである。
 極端に重低音を強調した前作 "Star People" とは正反対に、本アルバムは非常に音が軽い。ベースやドラムの音が軽いだけでなく、シンセサイザーやサックスの音までペラペラに軽くなっている。
 ひねくれた変な曲(もちろん良い意味で)が多いわりに、バンド演奏は当時流行のフュージョンサウンドになっていて、今聴くと古臭く感じる部分が多い。その一方で、意外と色褪せないのがミノ・シネルのパーカッションだ。単なるアクセントにとどまらず、バンドの中核を担うメンバーになっていると思う。
 マイルスのトランペットはどんどんフレーズが短く、とぎれとぎれになって行く。