Miles Davis / We Want Miles

ウィ・ウォント・マイルス

ウィ・ウォント・マイルス

  • (3), (5), (6) …… 1981年6月27日録音(ボストン)。(2) …… 1981年7月5日録音(ニューヨーク)。(1), (4) …… 1981年10月4日録音(東京)。
  • Miles Davis (tp, el-p), Bill Evans (ss, ts, el-p), Mike Stern (g), Marcus Miller (el-b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (perc)

 復帰したばかりのマイルスの2枚組ライヴ盤。ジャケットがかっこいい。
 本作は初出当時より詳しいレコーディング・データの記載がなく、諸説がまかりとおっているのだが、そのうち二つは明らかにウソである。
 その1。《"Jean Pierre" が2パターン((1) と (4))収録されているが、これらは同じ演奏の編集を変えたもの。》
 最初と最後のテーマ部分を譜面に起こしてみればわかるが、明らかに別テイクである。ただ、エンディングのリタルダンド(テンポが遅くなる箇所)は同じに聞こえるので、同じテイクをつなぎ合わせているのかもしれない。同じ日に1つの曲を2回演奏したのかどうかは不明。
 その2。《(3) "Fast Track" はテープの速度を上げている。》
 これも比較すればわかるのだが、原曲の "Aida" と同じキーである。「テンポが2倍」というのも誤り。そんなに速くはない。*1
 前作 "The Man With The Horn" に比べて、どの曲もテンションが異様に高く、素晴らしい演奏だ。マイルスは体調不良(来日直後に入院したらしい)とは思えない張り切りぶりだし、マーカス・ミラーもマイク・スターンもビル・エヴァンスも絶好調である。それに、アル・フォスターは70年代とは全く違った物凄いリズムを叩き出している。名盤、名演奏だと思う。

*1:中山康樹『マイルスを聴け!』には「これは想像だが、これ、テオがテープの速度を速めて作り上げたものではないか。」と書かれている。あくまでも中山の「想像」なのだ。