Miles Davis / The Man With The Horn

Man With the Horn

Man With the Horn

  • 1980〜1981年録音。
  • (3) …… Miles Davis (tp), Barry Finnerty (g), Randy Hall (synth), Robert Irving III (el-p), Felton Crews (el-b), Vincent Wilburn (ds), Sammy Figueroa (perc)
  • (5) …… Miles Davis (tp), Bill Evans (ss), Randy Hall (vo, g, celeste, synth), Robert Irving III (p, el-p), Felton Crews (el-b), Vincent Winburn (ds)
  • (1), (2), (4), (6) ……Miles Davis (tp), Bill Evans (ss), Barry Finnerty, Mike Stern (g), Marcus Miller (el-b), Al Foster (ds), Sammy Figueroa (perc)

 マイルスは健康状態悪化のため、1975年頃より引退状態となった。彼が6年ぶりに発表した復帰作が、本アルバム "The Man With The Horn" である。
 本作は2種類のメンバーとのレコーディングから構成されている。1970年代から継続して共演しているアル・フォスターを含む4曲と、マイルスの甥ヴィンセント・ウィルバーンを加えた2曲である。
 迫力の重低音から始まる (1) がすごい。マーカス・ミラーはグローヴァー・ワシントン・ジュニアの "Just The Two Of Us" でかっこいいベースを弾いていた人だが、当時はまだ無名だった。彼のベースが C の音から始まるのだけど、5弦ベースなのだろうか。マイケル・ヘンダーソンはチューニングを下げて D 音を出していてことがあったが、最初の1音でマーカスが勝利している。アル・フォスターもドラムのチューニングを下げているようだ。(1) のみ参加しているマイク・スターンは、ヘヴィーなロック風ギター・ソロを聞かせる。彼はのちにメインストリーム・ジャズ・ギタリストとして人気を得るのだが、この時点では全く正体不明であった。それから、サックスのビル・エヴァンス! お前の名前はなんとかならなかったのか。超有名ピアニストと同姓同名を名乗っているから、二流のままなんじゃないか。
 80年代のライヴのオープニングで定番となった「ジャーン!」で始まる (2) でギターを弾いているのは、バリー・フィナティ。このギターもかっこいいと思うのだが、彼は本セッションの後、クルセイダーズのツアーに参加するため、マイルス・バンドを離れてしまう。(結局それっきりになってしまったようだ。残念な人である。)
 もう一方のセッションの2曲 (3) と (5) はあまり評価が高くないのだが、曲は決して悪くない。ただ、音質に問題があって聴きづらいので、現代の技術でリマスタリングしてほしいと思う。