Miles Davis / Miles In Tokyo

マイルス・イン・トーキョー

マイルス・イン・トーキョー

 東京厚生年金会館ホールにおけるライヴ録音。テナー奏者にサム・リヴァース(1923〜2011)を加えた唯一の公式録音盤である。
 リヴァースは1923年生まれだから、マイルスより年上ということになる。それなりのキャリアの持ち主だったのだろうけれども、当時は全く無名のテナー奏者だったようだ。そんな彼をマイルスに紹介したのが、1945年生まれのトニー・ウィリアムスである。当時のトニーはまだ10代。彼は13歳のときにリヴァースと共演した経験があるという。
 サム・リヴァースはのちにフリー・ジャズへ移行していったアーティストだが、本アルバムを聴くかぎり、それほど前衛的というわけではないと思う。ソロになるとかなり暴れまわるが、きれいな音を出すテナー奏者である。
 本アルバムは全7トラック収録。(1) は司会者いソノてるヲによるアナウンス。(7) は (6) から続いているエンディング・テーマなので、正味5曲である。日本盤は1969年に発売されたが、アメリカでは長年入手困難だったらしい。
 2005年リマスター盤は音質良好。ただし、ベースの音は音量が大きいわりに、高音域が不足してこもって聞こえる。
 (2) "If I Were A Bell" はこの曲のベスト・テイク。(4) "Walkin'" では、ハービーのピアノ・ソロが始まった途端、あれあれ?という展開になる。(これは実際に聴いてください。)