Miles Davis / 'Four' & More

Four & More

Four & More

 ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール(現在のエイヴリー・フィッシャー・ホール)におけるライヴ録音盤。同日の録音は、アップ・テンポの曲を中心に選曲された本アルバムと、スロー&ミディアム・テンポの曲を集めた "My Funny Valentine" の2枚に分けて発表された。
 全8曲入り。全6曲と表示されたヴァージョンもあるが、(4) と (8) はそれぞれ前の曲から続けて演奏される短いエンディング・テーマである。ステレオ録音で、音質の良さはマイルスのライヴ盤の中でもトップ・クラス。2005年発表のリミックス盤はさらにバランスが良くなり、一つひとつの楽器の細かなニュアンスまで聴き分けられるようになっているので、旧盤を持っているひとは買い換え必須だ。
 この時期、マイルスのライヴはどんどんテンポが速くなっていったのだが、本作における演奏はとにかく速い。出だしから速いのに、トニー・ウィリアムスのドラムにプッシュされてさらに速くなって行くのである(気をつけて聴いていると、途中で半拍か1拍叩きすぎて休んでいるのがわかる)。
 派手に暴走する (1)〜(3)。複雑なアレンジのテーマをきちっと演奏する (5) と (6)。このあたりが聴きどころだろうか。最後の (7)〜(8) は肩の凝らないミディアム・テンポで、さらりと流してクール・ダウンしている。
 前掲の "My Funny Valentine" とあわせて、モダン・ジャズ全体を代表する屈指のライヴ・アルバムだと思う。