Miles Davis / Jazz At The Plaza

Jazz at the Plaza

Jazz at the Plaza

 最初に。「音質が悪い」ことで有名な本アルバムだが、iTunes Store でかなり音質が改善されたヴァージョンを発見したので、リンクを張っておく。(変なリヴァーブはカットされているが、楽器の音量バランスが悪い点は変わらない。)
https://itunes.apple.com/jp/album/jazz-at-the-plaza/id517681572
 1958年9月、ニューヨークのプラザ・ホテルにおけるパーティでの演奏を収録したライヴ盤。1973年に "Jazz At The Plaza Vol.1" というタイトルで、レコードが発売された。*1
 元々リリースの予定がなく、そればかりか録音されていることを知らずに演奏していた模様で、マイルスがマイクから遠ざかったりして、楽器の音量バランスが非常に悪い。一応ステレオ録音なのだが、変なリヴァーブがかけられていて、もわーんとしたサウンドである。それに、パーティ会場の客の話し声や笑い声がバックでずっと聞こえている、というコンディション最悪のアルバムなのだ。
 それでも、このライヴ演奏は非常に充実しているのである。同じ58年の "At Newport 58" のリラックスした雰囲気とは対照的に、メリハリのきいた演奏を聴くことができるのだ。
 全4曲入り。CD のヴァージョンによって曲順が異なる。(1) "If I Were A Bell" はマイルスのトランペットがオフマイクのままで残念な録音。(この曲をカットした CD もある。)
 (2) "Oleo" はこの曲のベスト・テイク。ビル・エヴァンスのアルバム "Everybody Digs Bill Evans" (1958年録音)でも演奏されていた曲だが、そこからのフレーズ引用がいろいろあって実に楽しい。エヴァンスは 《抒情的》 なだけのピアニストではないのである。
 (3) "My Funny Valentine" はサックス抜きのカルテット演奏。パーティ会場が静まって、演奏に聴き入っているようだ。マイルスもエヴァンスも最高のソロを聞かせる。ポール・チェンバースは唸り声をあげながら、無伴奏のピチカート・ソロを弾いている。
 (4) "Straight No Chaser" は、マイルスがソロの頭で出遅れてから、すぐに立ち直るまでの様子が面白い。この曲は最初と最後のテーマ部分にマイルスは登場せず、前半のソロが終わるとマイルスは引っ込んでしまうのだが、エンディングの10秒くらいで再び登場。例のエンディング・テーマを吹いている。

*1:同 Vol.2 はマイルスとは無関係で、デューク・エリントンビリー・ホリデイの演奏が収録されているらしい。