Miles Davis / Birth Of The Cool

Birth of the Cool

Birth of the Cool

 邦題『クールの誕生』。アレンジャー、ギル・エヴァンスが中心となって 《クール・ジャズ》 というコンセプトの元に作られた作品集。当初は10インチ盤で発表され、70年代に LP レコード化、80年代に CD 化されたが、曲順や収録曲が少しずつ変わっている。
 当時、Cool という語には、現代のような「かっこいい」というような意味はなくて、ディジー・ガレスピー等がやっていた Hot Jazz に対するものとして名づけられたようだ。《クール・ジャズ》 の特徴として、アドリブ・ソロよりもアレンジを重視していること、アタックが弱く全体に抑制された演奏になっていること、完全に白人向けの音楽であることなどが挙げられるだろう。
 本アルバムについては昔から賛否両論あって、「芸術的に優れている」「どの曲も同じに聞こえる」などさまざまな意見が出てくるのだが、どちらも正解なのだ。いろいろツッコみながら聴くのが楽しいのではないだろうか。


The Complete Birth of the Cool

The Complete Birth of the Cool

  • (13)〜(25) …… 1948年9月4, 18日、ロイヤル・ルースト(ニューヨーク)でのライヴ録音。
  • Miles Davis (tp), Mike Zwerin (tb), Junior Collins (f-hr), John Barber (tuba), Lee Konitz (as), Gerry Mulligan (bs), John Lewis (p), Al McKibbon (b), Max Roach (ds), Kenny Hagood (vo)

 こちらは、『クールの誕生』の数ヶ月前に録音されたライヴ・ヴァージョン(元はブートレッグ)を CD の後半に収録したコンプリート盤。
 ロイヤル・ルーストというのがどんな雰囲気のジャズ・クラブだったのかさっぱりわからないのだが、演奏中に客の話し声が聞こえていたりする。拍手もお義理程度。演奏もつまらない。