Herbie Hancock / River: The Joni Letters

RIVER-THE JONI LETTERS

RIVER-THE JONI LETTERS

  • 2007年録音。
  • Herbie Hancock (p), Wayne Shorter (ss, ts), Dave Holland (b), Lionel Loueke (g), Vinnie Colaiuta (ds), Norah Jones, Tina Turner, Corinne Bailey Rae, Joni Mitchell, Luciana Souza (vo), Leonard Cohen (poetry reading)
  • シンガー・ソングライタージョニ・ミッチェル(1943〜)へのトリビュート・アルバム。ジョニ自身を含む6人のシンガーによるジョニの作品を中心にしたヴォーカル・アルバムであり、同時にジャズ色の強いバラード集でもある。
  • 本アルバムによりハービーは2008年グラミー賞 Album of the Year を受賞した。ジャズやインストゥルメンタル関連の部門では何度かグラミー賞を受賞しているハービーだが、総合部門の Album of the Year を獲得するのは初めてのことである。(ジャズのアルバムが同賞を受賞したのは1965年の『ゲッツ/ジルベルト』以来とのこと。)近年のハービーの代表的な作品であると同時に、モダン・ジャズ・ヴォーカルのジャンルを代表するアルバムといえよう。
  • 全10曲入り。*1 (1), (2), (4), (6), (8) が女性ヴォーカル曲。(10) は男性歌手レナード・コーエンによるポエトリー・リーディング。ほかはインストゥルメンタル・ナンバー。また、(7) はデューク・エリントン作曲のスタンダード・ナンバー。(9) はウェイン・ショーター作曲のオリジナル(初演は1967年のマイルス盤)。それ以外の曲はジョニ・ミッチェル作の1960年代以降のレパートリーから選ばれている。
  • すべての曲がスロー・テンポで演奏される。ハービーのピアノは終始しっとりとした音を聞かせているし、ウェインのサックスも静かにサポートしている。ジョニ・ミッチェル作品は原曲を知らないのが多いのだが、メロディが美しい曲が多い。
  • ジョニと関係のない (7) と (9) がなぜ入っているのかわからない。(7) はジャズの古典的名曲だが、タイトルを言われなければわからないくらい、まったく別の曲のようなアレンジ。(9) はちゃっかりショーターの旧曲がまざっている。(この曲は何度再演しても初演にかなわないので止めたほうが良いと思う。)
  • 演奏にはまったく文句のつけようがないのだけれど、このアルバムは全体に楽器の音がうるさく感じる。特にピアノの音。静かなタッチで弾いているはずなのに、特定の音のピークが強すぎて、キンキンと鳴るのである。録音マイクが楽器に近すぎるのだろうか。(ヴォーカルに関してはまったく問題ない。)マスタリングによる改善を望みたいと思う。

*1:Amazon.com および iTunes Store (ともに米国内)で扱っている音楽配信版では、2曲ずつ異なるボーナス・トラックが追加されているが未聴。