Herbie Hancock / Future 2 Future

  • 2001年録音。
  • Herbie Hancock (key), Wayne Shorter (ts, ss), Bill Laswell (el-b), Charnett Moffett (b), Jack DeJohnette, Tony Williams, Karsh Kale (ds), Elenni Davis-Knight, GiGi, Chaka Khan, Dana Bryant, Imani Uzuri (vo), Carl Craig, A Guy Called Gerald (prog), Grandmixer DXT, Rob Swift (turntable), DJ Krush (remix)
  • "Perfect Machine" (1988年)以来となるハービーとビル・ラズウェルの共同プロデュース作品。HIP-HOP、ダンス・ミュージック系としては今のところ最新のアルバムである。
  • 全11曲入り(日本盤はリミックス曲1曲追加)。当時流行したドラムンベースを導入した 《打ち込み系》 の曲と、ウェイン・ショータージャック・ディジョネット等、ベテラン・ミュージシャンが演奏するジャズ・ナンバーが絶妙に溶け合っており、アルバム全体の統一感が損なわれないようになっている。デジタル・サウンドも重厚になっていて、ハービーのエレクトリック作品の中では "Dis Is Da Drum" (1994年)と並ぶ傑作だと思う。
  • 短いイントロダクションの (1) に続いて、強烈なパーカッションから始まる (2) が凄い。女性ヴォーカルの Gigi はエチオピア出身のシンガーで、のちにビル・ラズウェルと結婚した。*1
  • (3) はチャカ・カーンのヴォーカルをフィーチャーしたドラムンベース・ナンバー。チャーネット・モフェットの重厚なアコースティック・ベースのリフはクセになる。後半、ピアノ・ソロのバックに流れるリフは、Miles Davis の70年代の曲 "Ife" からの引用である。
  • (4) "This Is Rob Swift" は、そのまんま DJ、 Rob Swift のスクラッチをフィーチャーした RAP ナンバー。ジャック・ディジョネットのシンプルなドラムがかっこいい。
  • (6) "Tony Williams" は、1997年に死去したトニー・ウィリアムスのドラム演奏に、他の楽器をオーヴァーダビングしたと思われるジャズ・ナンバー。ウェイン・ショーターのソプラノ・サックス・ソロが素晴らしい。異様にハイ・テンションな4ビート・ファンクである。
  • アルバム後半は、やや混沌とした曲が並ぶ(それでも十分優れている)が、(2) の続編である (11) が再び登場して全体を引き締める。(3) のリミックス・ヴァージョンである (12) も良い。
  • もう10年以上前の作品だが、本アルバムが発表されて以降、ハービーの全作品の中で最もよく聴いているかもしれない。愛聴盤である。

*1:偶然だが、ハービーの妻の名前も Gigi である。