Herbie Hancock / V.S.O.P.

ニューポートの追想

ニューポートの追想

  • 1976年6月29日、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルにおけるライヴ録音。
  • CD1 …… Herbie Hancock (YAMAHA electric grand piano), Freddie Hubbard (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)
  • CD2 (1)〜(3) …… Herbie Hancock (key), Eddie Henerson (tp, flh), Julian Priester (tb, b-tb), Bennie Maupin (a-fl), Buster Williams (b), Billy Hart (ds)
  • CD2 (4), (5) …… Herbie Hancock (key), Bennie Maupin (ss, ts, lyricon), Wah Wah Watson (g, synth, voice bag), Ray Parker Jr. (g), Paul Jackson (el-b), James Levi (ds), Kenneth Nash (perc)
  • 1976年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで行われた「ハービー・ハンコックの音楽的半生を回顧する」イベントの模様を収録した2枚組ライヴ盤。3種類のバンドが次々に登場するという夢のようなステージ、豪華な演奏である。なお、"V.S.O.P." とは Very Special Onetime Performance を意味するのだという。
  • CD1 は、60年代のマイルス・デイヴィスクインテットに近い(70年代後半、マイルスは引退状態だった)編成だが、実際はハービーの『処女航海』に近い内容。選曲も3曲中2曲が『処女航海』からピックアップされている。70年代後半という時代は(特にアメリカでは)アコースティックなモダン・ジャズが本当にダメで、60年代に人気のあったミュージシャンはほとんどフュージョンに転向するか、もしくはヨーロッパに活動の拠点を移すかどちらかであった。そんな状況の中で、このグループのパフォーマンスはジャズ・ファンを熱狂させたのである。
  • CD1 (1) はハービーのピアノ・ソロ。本アルバムでハービーは、ヤマハの CP80 というエレクトリック・グランドピアノを弾いている。(のちにサザン・オールスターズや八神純子が使っていたのと同じ楽器。)
  • CD1 (2) 「処女航海」。(1) からそのまま (2) のイントロに移り、バンド演奏が始まるところは感動的。この曲はやっぱり出だしが良いのだ。途中からラテン風のリズムになって、ロン・カーターオクターヴのリフを弾く箇所は、マッコイ・タイナーの "Salvadore de Samba" からの流用(原曲でもロン・カーターがベースを弾いている)である。
  • CD1 (3) はウェイン・ショーター作曲「ネフェルティティ」。マイルス時代の名曲だけど、グダグダに崩れてしまってちっとも良くない。
  • CD1 (4) はハービーがメンバーを紹介しながら一人ずつ演奏に加わっていく出だしがかっこいい。
  • CD2 の前半は Mwandishi Sextet による演奏。オリジナルのイメージどおりリヴァーブがギンギンにかけられている。(1) はアルバム "Speak Like A Child" から "Toys"。原曲とかなり違い、エディ・ヘンダーソンのトランペット・ソロをフィーチャーした14分の長尺演奏。(2) はメンバー紹介の MC。(3) もエディ・ヘンダーソンの長いソロが魅力。当時はこのセクステットの良さがわからなかったのだが、今聴くとこのアルバムの演奏では一番良いかもしれない。
  • CD2 の後半は当時最新のバンド 《ヘッドハンターズ》 による演奏。シンプルなファンク・ナンバーが2曲。いずれも2本のリズム・ギターがかっこいい。