Herbie Hancock / Takin' Off

Takin Off

Takin Off

  • 1962年5月18日録音。
  • Freddie Hubbard (tp), Dexter Gordon (ts), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)
  • ピアニスト、キーボード奏者、コンポーザーとして50年にわたって活躍しているハービー・ハンコック(1940〜)の初リーダー作。(彼は1969年までにブルーノート・レーベルから7枚のアルバムを発表した。)トランペット、テナー・サックスを加えた5人編成による痛快なジャズ・アルバムだ。
  • 全6曲入りで、すべてハービーのオリジナル。(彼のアルバムはほとんどが自作曲で占められているので、以後特記ない限りすべてハンコック作曲だと思ってほしい。)曲も演奏も明快で、60年代の彼のモダン・ジャズ・アルバムの中では一番わかりやすいかもしれない。演奏者の中では、フレディ・ハバードの明るいトランペットの音色が印象的。
  • (1) "Watermelon Man" は、ハービーが参加していたモンゴ・サンタマリア楽団の演奏で大ヒットしたラテン曲のセルフ・カヴァー。本作での演奏はラテン風味を抑え、8ビートのストレートなジャズ・ロック風のアレンジでかっこよくキメている。
  • (5) は当時流行っていたファンキー・ジャズ風の佳曲。粘りのあるリズムが特徴的なピアノ・タッチである。ソロ・パートでは、後にハービーのトレードマークとなる 《オクターヴのトリル》 が早くも登場している。
  • (6) はスロー・バラード。美しい曲なのだけれど、トランペットとテナーの絡みが少なくて、やや音が薄くなっている気がする。
  • CD には (1)〜(3) の別テイクがボーナス・トラックとして収録されている。ハービーのブルーノート盤にはたいてい別テイクが入っているのだが、テイクによる演奏の差がほとんどないため、曲の印象が強いだけに続けて聴くとしつこく感じる。
  • 参加ミュージシャンはハービーと同年代の若手がそろっているのだが、デクスター・ゴードン(1923〜1990)のみ一回り以上年長である。ハービーは彼に見出されたというようなことも言われているが真偽は不明。しかし、ずっと後になってハービーはデクスターと再会、彼のアルバムをプロデュースすることになる。デクスター・ゴードン主演の映画『ラウンド・ミッドナイト』のサウンドトラック盤(1986年)である。