Weather Report / Procession

Procession

Procession

  • 1983年録音。
  • Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (ts, ss), Victor Bailey (el-b), Omar Hakim (ds, g, vo), José Rossy (perc), The Manhattan Transfer (chorus)
  • ベース、ドラム、パーカッション奏者が交代し、第4期となったウェザー・リポートの通算13作目。前作あたりからその傾向が強かったが、もはやジョー・ザヴィヌルのワンマン・バンドとなっている。
  • ヴィクター・ベイリーのベースとオマー・ハキムのドラムは、発表当時はちっとも良いと思わなかったのだが、1年くらい前に久しぶりに CD を買って聴いてみたら、案外良いので驚いた。ハキムのドラムは手数が多く、緻密で正確なのだけれど、リズムの「正確さ」を心地よく感じるのは今どきの聴き方なのかもしれない。1970〜80年代初頭くらいまでの時代は、前ノリ・後ノリがはっきりしているドラマーのほうが個性的といわれ、評価が高かったのだ(ウェザー・リポートの歴代ドラマーは前ノリが多く、ピーター・アースキンは後ノリだった。当時のアースキンのドラムは今聴くと古い)。一方、ハキムのドラムは前後に偏ったノリではなく、正確にリズムを刻みながらグルーヴ感を出していくタイプのものである。時代が追い付いてきた、ということなのかもしれないと思う。
  • 全6曲入り。(1), (3), (4) がザヴィヌル作曲。(2) がショーター作曲。(5) は二人の共作。(6) はハキム作曲。
  • (1) は単調で暗い曲。後半盛り上がるのが、テナーにかけられたエフェクターが気持ち悪い。
  • (2) は一瞬またスロー・ナンバーか!と思わせておいて、サックスのリフレインが印象的な佳曲。ハキムのドラムは、こういうスローな曲も巧い。
  • (3) はアゴゴベル(パーカッション)の音が印象的なアップ・テンポの曲。ベースとドラムがかっこいい。
  • (4) はコーラス・グループ、マンハッタン・トランスファー(以下 MT)が参加。MT は1979年にウェザー・リポートの名曲 "Birdland" をカヴァー、大ヒットさせた。それがきっかけとなり、1983年にはプレイボーイ・ジャズ・フェスティヴァルで、ウェザー・リポートと共演。ステージ上で "Birdland" を披露している。その流れで、本アルバムへの参加となったわけだが、当時の MT の人気、実力を考えると、この曲における彼らの扱いは、ほとんど罰ゲームに近いレベルである。アレンジは中途半端だし、ミキシング・バランスも悪く、わざわざ MT を起用する意味はどこにあったのか? と思う。そのくせ、他の楽器パートの演奏はまったく印象に残らない。ひどいものである。
  • (5) はザヴィヌルとショーターのデュオ。おそらく全くの即興演奏ではないだろうか。これも捨て曲である。
  • (6) はオマー・ハキムのアコースティック・ギターとコーラスをフィーチャーした16ビート曲。ベースとドラムが大活躍し、テーマ部分はベースとギターで演奏されている。中間部にテナーとシンセのソロ、という構成はわりと珍しいかもしれない。新しいバンド・サウンドを創りあげようという意欲が感じられる、張り切った演奏である。