Weather Report / Black Market

Black Market

Black Market

  • 1975年12月〜1976年1月録音。
  • (1) …… Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (ss, ts, lyricon), Alphonso Johnson (el-b), Narada Michael Walden (ds), Chester Thompson (ds), Alex Acuña (perc), Don Alias (perc)
  • (3), (4), (5), (7) …… Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (ts, ss, lyricon), Alphonso Johnson (el-b), Alphonso Johnson (el-b), Chester Thompson (ds), Alex Acuña (perc)
  • (2) …… Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (ts), Jaco Pastorius (el-b), Narada Michael Walden (ds), Alex Acuña (perc)
  • (6) …… Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (ts, ss), Jaco Pastorius (el-b), Chester Thompson (ds), Don Alias (perc)
  • ウェザー・リポートのアルバムの中で、僕はこの "Black Market" が一番好きだ。最高傑作だと思う。理由をいくつか挙げよう。第一に、曲が最もそろっていること。良い曲が並んでいるというだけでなく、イントロからエンディングまできちんと構成された音楽になっているということだ。ジャズにおける作曲というのは通常、アドリブ部分に入るためのきっかけにすぎないことが多いのだが、ウェザー・リポートは最初からそのような方法を取らなかった。それに加えて本作では、楽曲の起承転結を隅々まで考え抜いた構成(フェイドアウトであっても!)が出来上がっているのである。第二に、モノフォニック・シンセサイザーを用いた分厚い音が素晴らしいこと。若い人は信じられないかもしれないが、当時のシンセはコードが弾けず、単音のシンセを多重録音していたのである。(次作 "Heavy Weather" からはポリフォニック・シンセサイザーが導入され、サウンドが大きく変化する。)第三に、不世出の天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスの加入だ。本作への参加はわずか2曲だが、以降、このバンドの音楽は大きく変化していく。
  • 全7曲入り。(1)〜(3) がザヴィヌル作曲。(4), (5) がショーター作曲。(6) がジャコ・パストリアス作曲。(7) がアルフォンソ作曲。新加入のジャコは (2) と (6) に参加している。
  • (1) と (3) はラテン風のリズムだが、ちょっとほかに似た曲のない不思議な音楽。シンセとサックスのソロがかっこいい。ベースのフレーズも格段に進歩している。ドラムのチェスター・トンプソンは後にジェネシスのツアー・メンバーとして長年活躍した人である。
  • (4) はウェイン・ショーターウェザー・リポートにおける最高傑作。迫ってくるような緊張感がたまらない。
  • (6) はジャコのベース・リフ・ナンバー。バックのピアノとサックスがかっこいいのだが、あっという間に終わってしまう。
  • (7) はアルフォンソ・ジョンソン(彼のリーダー・アルバムはつまらない)の最高傑作。当時流行した変拍子を多用したフュージョン・ナンバーである。