John Coltrane / A Love Supreme (Deluxe Edition)

Love Supreme

Love Supreme

 1965年に発表されたスタジオ録音盤に、同年録音のライヴ・ヴァージョン、スタジオ録音の別テイクを組み合わせた 《デラックス・エディション》。(2002年発売。)

Disc1: A Love supreme

  • 1964年12月9日録音。
  • John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)
  • "A Love Supreme" (邦題『至上の愛』)は全部で4つのパートからなる32分間の組曲である。
  • ジャケットの内側に、コルトレーンによる哲学的な文章や詩が書かれ、その宗教性・精神性ゆえにとっつきにくい印象の作品だが、演奏内容はしっかりと構成されていて、決して難解な音楽ではない。
  • 本アルバムはコルトレーンが1960年頃から取り組んできたモード・ジャズの到達点であり、少なくともスタジオ録音盤の中では最も優れた作品のひとつだと思う。
  • 《デラックス・エディション》 は音質が格段に向上し、特に中低域がクリアになっている。僕は90年頃の CD から買い換えたのだけど、正解だった。

Disc2: A Love Supreme (Live) and etc.

  • (1)〜(5) …… John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds) (1965年7月26日、フランス、アンティーブでのライヴ録音。)
  • (6), (7) …… John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds) (1964年12月9日録音。)
  • (8), (9) …… John Coltrane (ts), Archie Shepp (as), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Art Davis (b), Elvin Jones (ds) (1964年12月10日録音。)
  • (1)〜(5) は『至上の愛』組曲全曲のたった一度きりのライヴ録音。過去にブートレッグとして出回っていた音源と同じものだが、音質は A クラス。
  • (1) は司会者アンドレ・フランシスによるメンバー紹介。この司会者、『マイルス・ディヴィス・イン・ヨーロッパ』や『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』のオープニングでしゃべっているのと同じひとである。
  • (2)〜(5) の演奏時間は49分。スタジオ録音盤に比べてだいぶ長い。特に3曲目の (4) は2倍の長さになっている。
  • ベースの無伴奏ソロが延々と続く箇所は退屈だが、コルトレーンとエルヴィンは絶好調で激しい音を聞かせている。
  • (5) の演奏終了後、観客のブーイングが起こっているのがそのまま収録されているのが面白い。当時、フランスでは『至上の愛』がまだ発売されていなかったそうだから、いきなり全く知らない(しかも長い)曲を聴かされて、聴衆は驚いたにちがいない。
  • なお、7月27日と28日のライヴ録音も CD 化されていて、そちらは通常の選曲になっている。
  • (6) と (7) は、Disc1 (2) の別テイク。ただし、(7) は約2分でフェイドアウト
  • (8) と (9) は、スタジオ録音盤の翌日の演奏で、Disc1 (1) の別テイク。アルト・サックスのアーチー・シェップとベースのアート・デイヴィスが加わった6人編成だが、内容は散漫で音質も悪い。改めて Disc1 を聞き返してみると、その完成度の高さがわかるのであった。