イエス/結晶


  • 1991年発表。原題 "Union"。
  • 元祖イエス・メンバーによる ABWHと "90125" のときの本家イエス(通称 9012 Yes)の二つのバンドの作品を収録した変則的なアルバム。
  • メンバーは以下のとおり。
  • もともと ABWH のセカンド・アルバムとして制作された音源に、9012 Yes の作品を4曲追加した構成になっている。(両方のセッションに参加しているのはジョンのヴォーカルとクリスのコーラスのみ。二つのバンドが共演しているわけではない。)
  • 全15曲中、(4)、(6)、(7)、(9) が 9012 Yes の演奏。(3) はスティーヴ・ハウのソロ。(13) はトニー・レヴィンビル・ブラッフォードのデュオ。それ以外は ABWH のトラックである。
  • 二つに分裂したイエスを合体させたアルバムという触れ込みだったため、発表当時大きな話題となり、久しぶりに全英7位というヒット作となったのだが、ファンの評判は良くない。
  • だが、発表から20年以上経ち改めて聴きなおしてみると、楽曲のクオリティは決して悪くないし、サウンド的にも同年代の諸作品に比べて古びていないと思う。
  • 特に、ABWHの前作『閃光』と比べた場合、音のバランスが格段に向上していて、ベースの重低音がよく響いている。
  • また、アマゾンのレビューを見ると、二つのバンドの違いが目立つようなことが書かれているが、実際にはそんなに変わらないし、続けて聴いても違和感はない。(どちらかというと、ABWH がポップ化していて、9012 Yes に近づいている印象がある。)
  • むしろ問題なのは15曲69分という演奏時間の長さだと思う。イエスに限らない話だが、90年代のロックの CD は過剰に曲をディスクに詰め込む傾向があったので、こういう冗長なアルバムが多かったのである。今だったら、60分以内に収める(足りなければボーナス CD をつける)など、やり方が違ったはずだ。
  • 上の動画はアルバム1曲目「ウェイティッド・フォーエヴァー」("I Would Have Waited Forever")。ABWH の演奏にクリス・スクワイアのコーラスが加わっている。
  • 91年には二つのバンドを合体させた「8人イエス」による《Union ツアー》が行われ、大成功を納めた。ただし、同ツアーでは本アルバム収録曲はほとんど演奏されなかったらしい。


Union

Union