ヘミングウェイ 『日はまた昇る』

 『日はまた昇る』("The Sun Also Rises") は1926年に発表された、アーネスト・ヘミングウェイ(1899-1961)の最初の長編小説。
 簡潔な文体は初期の頃からヘミングウェイの特徴だったようだが、本作はかなりくどい部分が多く、ストーリー的には退屈な小説である。この 《くどさ》 を若書きと呼ぶのだろう。

「あと三十五年もすると、ぼくらは死んでしまうんだぜ」
「何を言ってるんだ、ロバート」ぼくは言った。「ばかばかしい」
「ぼくは本気だ」


 ヘミングウェイ日はまた昇る』(大久保康雄訳) 第二章

 この小説を書いてからきっかり35年後、作者はライフルで自殺した。その瞬間、彼は上の文章を思い出したのだろうか?


日はまた昇る (新潮文庫)

日はまた昇る (新潮文庫)

 50年以上前の大久保康雄訳を読んだのだけど、これから読む人は高見浩訳のほうが良いのではないかと思う。