猫の言葉と人の言葉 (3)

 我が家の猫たちが2匹とも理解している言葉がある。それは、「おいしいごはん」 である。
 我が家では原則としてキャットフードのみを与えている。ご存じの方も多いと思うが、キャットフードにはひなあられみたいなカリカリのドライフードと、缶詰やレトルトパウチのウェットフードの2種類がある。ウェットフードばかり食べさせると歯が弱くなるという獣医のすすめもあって、ふだんはドライフードを与えているのだが(値段も安いし)、猫たちは断然ウェットフードが大好きなのだ。
 子猫の頃から、ウェットフードを与えるときに、「おいしいごはんだよ!」 と言って与えたせいか、「おいしいごはん」 という言葉を聞くだけで、もう大興奮。にゃあにゃあ騒いだり、ふだん禁止している台所の流しの上にのぼったりして、食べさせるまで止まらないのである。猫とは関係ない会話の中で 「おいしいごはん」 という言葉を発しても、必ず聞き耳を立ててくるのだから、子供の前でケーキの話をするようなものなのだ。
 人間の子供は2歳前後の頃、「ワンワンきた」、「マンマたべる」 といった二語文を話すようになる。「おいしいごはん」 には動詞が含まれていないが二語文に近いイディオムなので、彼らの知能はそれくらいなのではないかと思う。
 猫たちは 「おいしいごはん」 が本当に好きである。1回につき1袋を2匹に分けて与えるのだが、それこそ皿を舐めつくす勢いでぺろりと平らげる。
 もしも皆さんが我が家に立ち寄られる機会があるならば、ぜひ1袋ご持参の上、試してみてください。


 (つづく)