小諸市立藤村記念館
http://www.city.komoro.nagano.jp/www/contents/1073979664433/index.html
入口のあたりに島崎藤村の胸像が飾られていて、観光客が記念写真を撮っている。
藤村と眼鏡も同じ我が夫
最近、このブログで取り上げたばかりのネタを記念館で見るのは、不思議な気持ちのするものである。特に印象に残ったのは以下の二つ。
爐邊雜興
展示室に藤村が大きな和紙に書いた自作詩が飾られている。「千曲川旅情の歌」 のような信州の風景を美しく歌ったものもあるが、なぜか 「爐邊雜興」 が展示されている。例の 「塩鮭がまずい!」 というやつである。(実際には小諸の地名は書かれていないけどね。) どう考えたって信州にふさわしくはないような気がするのだが、大丈夫なんだろうか。
きっと、小諸の人たちはそんなことを気に掛けたりしない、大らかな心の持ち主ばかりなのだろう。いや、そう思うことにしよう。
冬子夫人の手紙
小諸といえば藤村夫妻が新婚生活を送った記念の場所である。冬子夫人が知人に書き送った手紙が、ここには展示されている。草書体で書かれた達筆で、ほとんど解読できないのだが、彼女の手は樋口一葉のそれに似ていると感じた。しかも、草書だから似ているというようなレベルではないのである。樋口一葉は藤村と同じ明治5年生まれ。冬子夫人は6歳下である。ひょっとして同じ先生から教わったとか、同じお手本から書を学んだとか、何か共通点があるのではないだろうか。
手紙は明治42年に東京で書かれたものだった。内容は子育てなど日常生活の様子を知らせるようなものだったが、文章が明快なのである。本当に頭の良い人だったのだろうと思う。