セル/ブラームス交響曲第3番

 セルの CD が売れているらしい。と思ったら、村上春樹のせいだったのか。
 ジョージ・セルはものすごく地味な指揮者である。「完璧主義者」 と言われているそうだが、シンフォニーを派手に盛り上げるというよりも、どちらかといえば美しい旋律を淡々と聴かせるタイプの音楽家だと思う。

 上の CD は交響曲第2番と第3番が収録されているものだが、第3番(これまた地味な曲ですな)の美しさは格別である。
 しかし、僕が持っている CD は、第3番のあとに 『ハイドンの主題による変奏曲』 が入っていて、雰囲気ぶち壊しなのだ。第3番のしみじみとしたエンディングのあとに、こういう曲を聴かせるのはどういう神経なのかと思う。あと、『大学祝典序曲』 がオマケ収録されている CD も多いので要注意だ。収録時間を増やすためにのみ抱き合わせられた 『ハイドン』 と 『大学』 (どちらもブラームス作曲で、単独で聴けばそれなりに名曲なのだけど)が入っている CD は絶対に買ってはならない。