第11講 川端康成 『雪国』(2)

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講義ノート

 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。

  • 純文学/大衆文学の区別は、どの国にもある。
  • 純文学は売れない
    • 永井荷風志賀直哉には資産があった。
    • 菊池寛は通俗小説を書いた。
    • 川端も戦後の一時期、通俗小説を書いた。……『東京の人』
  • 純文学を出した出版社
  • 『雪国』、『山の音』、『千羽鶴』 は短編をあとからまとめて出版した。
  • 眠れる美女』、『片腕』 は純文学の傑作。
  • 『東京の人』 は地方紙三社連合(北海道新聞中日新聞西日本新聞)に連載された。川端の小説で最も長い。
  • 「悲しいほど美しい声であった。」……川端の 《不幸萌え》。
  • 「左手の人差指をいろいろに動かして眺めては、結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている……」……車中の描写
  • 「「こいつが一番よく君を覚えていたよ。」と、人差指だけ伸した左手の握り拳を、いきなり女の目の前に突きつけた。」……駒子との再会
  • 「友だちだと思ってるんだ。友だちにしときたいから、君は口説かないんだよ。」……と言いながら、口説いている。
  • 「学生の頃は好みが踊や所作事に片寄って来て」……踊と所作事は同じ意味。関西出身の川端は歌舞伎に詳しくなかったのだろう。
  • 「よろこびにさからうためにそでをかんでいた。」……いつの間にかセックスしている。
  • 「徒労だね。」
  • 「……駒子がいいなずけのために芸者に出たというのも、余りに月並な筋書で、島村はのみこめぬ心地であった。」……《不幸萌え》 をまとめている。
  • 勧進帳が終わると島村はほっとして、ああ、この女はおれに惚れているのだと思ったが、それがまた情なかった。」
  • モデルのある駒子にはリアリティがあるが、川端が創作した葉子ははっきりしない。
  • 「君はいい女だね。」……聞き違い
    • 島尾敏雄 『死の棘』……「きちがい」と「ききちがい」
  • こういう話は駒子が死なないと終わらない。
  • 川端は、ハンセン病の作家、北条民雄に手を差し伸べた。
  • 『東京の人』……臼井吉見は他人から聞いた話を確認せずに批判した。
  • 温泉芸者とのセックス……芸者遊びをしたことのない者にはわからない部分がある。
  • 「悲しいほど」など、同じ言葉の繰り返しが多い。

次回

泉鏡花 『歌行燈』