マイケル・ジャクソン

 マイケル・ジャクソンの訃報を聞いた。

 僕はマイケル・ジャクソンの来日公演に2度行っている。

  • 1987年9月 後楽園球場
  • 1988年12月 東京ドーム

 1年以上間が開いているが、実は長大なワールド・ツアーの最初と最後にあたるものだということが分かったのは、2回目のコンサートが始まってからのことだ。曲目も演出もほぼ同じだったのである。コンサートは素晴らしかった。MTV で何度も見たダンスがそのままステージで演じられていた。また、MTV のなかった頃の "Off The Wall" 収録曲が印象に残った。
 マイケル・ジャクソンの人気がどれほどのものだったのか、当時を知らない人に説明するのは難しい。今、EMINEM を知らなくても恥ずかしくはないが、マイケルを知らないひとはいなかった。僕の両親だって知っている。それぐらいの知名度だったわけだし、人気もあった。相当に俗っぽい存在だったわけだけれど、楽曲のクオリティは高く、レコード(そう。スリラーの頃はレコードだったのだ)や CD の素晴らしさは、他の追随を許さないものであった。
 90年代以降、マイケルの音楽は急につまらなくなった。メディアに登場するときは、整形手術や奇行や醜聞の話題ばかりがつきまとっていた。プリンスと比較するとわかるのだが、マイケルはインターネットをメディアとして活用するのに失敗したのではないか。
 マイケルには映像作品を除くとライヴ・アルバムが一枚もない。あんなにコンサートが素晴らしいのに、生のマイケルはすごいのに、である。晩年のエルヴィス・プレスリーは積極的にライヴをこなすことで復活を遂げたが、マイケルにはそのようなパフォーマンスはなかった。それは繊細すぎる彼の内面のためかもしれないし、巨大になりすぎたマイケル・ジャクソンという存在そのものを彼自身動かすことが出来なくなったためかもしれないと思う。