第10講 川端康成 『雪国』(1)

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講義ノート

 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。

  • 1899(明治32)年、大阪市に生まれ、幼少時に両親が死に茨木市に移った。
  • 黒田家に育てられた。天涯孤独。
  • 川端が偉くなったのがいつ頃からなのか、よくわからない。
  • 初期の代表作……『伊豆の踊子』、『十六歳の日記』、『掌の小説』
  • 新感覚派では、横光利一のほうが先に人気が出た。
    • 『機械』 は面白いが、『上海』などの長編はつまらない。
    • 『純粋小説論』
    • 戦争協力。戦後に批判された。
  • 『雪国』……昭和10年出版。
    • 短編を集めたもの。
    • 『夕景色の鏡』……昭和8年。「人差指」 が伏字になっている。
  • 昭和初期の円本には伏字が多い。
    • 谷崎 『痴人の愛』 は伏字だらけだった。
    • 里見とん
  • 川端はいつ偉くなったのか
  • 新潮社系と文藝春秋
  • 昭和10年、35歳で芥川賞選考委員になった。
  • 戦後になっても中堅作家だった。
  • ノーベル賞候補だった谷崎が死んだため、ノーベル文学賞受賞。(1968年)
  • ガス自殺(1972年)
  • 臼井吉見 『事故のてんまつ』……1977年、「展望」 に一挙掲載後、単行本化された。
  • 『事故のてんまつ』 は、川端のガス自殺の謎をめぐる話。
    • シカザワノリコというお手伝いさんが安曇野から来て、主人公が彼女を好きになり、外車を与えたり東宮御所へ連れて行ったりした後、彼女が故郷へ帰ってしまった翌日に自殺する、という内容。
    • 主人公とシカザワは被差別部落出身だと書かれている。
    • 川端の遺族……妻・秀子、養女・政子、政子の夫・香男里。
    • 川端香男里(1933〜)……ロシア文学
    • 遺族が臼井と筑摩書房を訴えた。「事故のてんまつ」事件。
    • シカザワの養父モロズミがシマヤに語る→シマヤが臼井の兄に語る→臼井がシマヤに取材する
  • 川端がいつ結婚したのかわからない。
  • 『山の音』……恋人が死んで、その妹と結婚する話。
    • 川端は、妻とその妹と3人で暮らしていたことがある。
  • 当時、死者への名誉棄損は成立しなかった。
    • 1977年8月、臼井は謝罪して 『事故のてんまつ』 を絶版にした。
    • 解放同盟の糾弾による。
    • 以後、川端の伝記研究は停滞した。
  • 川端の少女好きは定説。
  • 眠れる美女』 にはモデルの女性がいる。
  • 『雪国』 の駒子のモデル……小高キクは1999年没。
    • 越後湯沢の高半(たかはん)旅館。
  • 葉子は創作。
  • 島村がどういう容貌なのかわからない。
  • 戦後に英訳されて、アメリカで人気が出た。
  • 「国境の長いトンネルを……」 「こっきょう」でも「くにざかい」でも同じ。どちらでも良い。
  • 火事の場面は後から書き足されたが、結局、小説としては完結していない。川端は生涯そう言い続けた。