第2講 樋口一葉『たけくらべ』(1)

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講義ノート

 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。

  • 樋口一葉の 「一葉」 は雅号。漱石、藤村、啄木、紅葉、鏡花など、雅号はすべて音読みである。
  • 明治維新後、新しい文化(文学)が出るまで、20年くらいかかった。
    • 明治10年 西南戦争
    • 明治5年(4年?) 断髪令
    • 昭和初期の 《モガ》 は 「僕」、「君」 を使った。
  • 樋口一葉は、明治5年生まれ。明治29年没。(満24歳)
    • 若くて美人だった。(肖像画では美人に描かれているが、実際はどうかわからない。)
    • 明治の作曲家、滝廉太郎も23歳で亡くなった。もし長生きしていたら、日本の音楽界は変わっていただろうといわれる。
    • 一葉が長生きしていたら、どうなったのか? つまらない長編小説を書くようになって、評価が下がったのではないか――という話を、小説 『美人作家は二度死ぬ』 に書いた。
  • 一葉は東京生まれ。本籍地は、父親の出身地である山梨。
  • 吉原について
    • 昭和31年、売春宿が法律で禁止された。吉原の遊郭は、旅館などに変わるところが多かった。
    • 初期のトルコ風呂は売春目的ではなく、嬢は客の背中を流す程度のものだった。
    • 《本番》 を含む売春を目的としたトルコ風呂(現在のソープランド)が登場したのは、昭和40年代。
    • 古い風俗街は最寄駅から遠いのが特徴。車で送迎を行う。
  • 一葉は、《萩の舎(はぎのや)》 歌塾に入り、和歌を習った。
  • 女戸主
    • 父親が死に、兄は放蕩三昧のため、一葉が戸主となった。
    • 当時の民法によるもの。
    • 野田聖子が主張する夫婦別姓について。
    • 相撲部屋の場合。
    • 一葉が若く死んだため、結局、妹が戸主となった。
  • 新聞小説家・半井桃水
    • 当時、売れる小説といえば新聞小説だった。読者は新聞に連載される小説を読んだ。単行本化されたものはどれだけ読まれたのかわからない。
    • 新聞小説を単行本化するときは、新聞社出版局から出版するのが通例だが、文庫化するのが難しいことが多く、新潮文庫から出てしまうというのは今でもある。
    • 新潮文庫帝国主義
  • 一葉は、生活していくために、小説を書いた。
  • 新聞小説と新派
    • 《新派》は「歌舞伎より新しい」という意味。
    • 金色夜叉』、『婦系図』、『不如帰』、『日本橋』など。
    • 水谷八重子(初代と二代目)について。
    • 新派には、女形が出るが女優もいる。
    • 新聞連載小説の舞台化が主流だった。
    • 「女の不幸」が主題だった。
    • 漱石のような小説が新聞に連載されるようなことは珍しかった。
  • たけくらべ』について
    • 吉原周辺の子供たち(15歳前後)を描いている。
    • 主人公・美登利が娼婦になることを予感させて終わる。
    • 擬古文。
    • 井原西鶴は、明治に再発見された。
  • 一章について

次回

  • 二章の朗読を練習すること。
  • 結末については初潮説と初店(処女喪失)説があり、現在は初店説が主流となっている。