読書と読後感について

 長い小説、難解な小説を読み終わったとき、「達成感」を得るときがある。でも、そういう本はたいていつまらない。
 むしろ、面白い小説というのは、「いつまでも読み続けていたい」、「読み終わるのが惜しい」と感じるものが多いと思う。例えば、僕にとっては 『細雪』 がそうだ。
 もう一つのパターンは、「読み終わった瞬間、もう一度最初から読み返したくなる」本である。音楽でいうとヘビーローテーションにあたるものだ。長編小説だとなかなかそういう風にはならないのだが、最近読んだ樋口一葉は、どれも3回くらいずつ読み返し、反芻しながら味わった。長編だったら、『血の収穫』、『津軽』あたりだろうか。ヘビロテというほどではないが、何度も読みたくなる本である。