2009-03-11 三島由紀夫 『暁の寺』 日本文学 だらだらと長い第1部に続いて、第2部が始まると、すでに昭和27年になっている。 本多は巨額の報酬を得た後、日本に留学中の18歳のジン・ジャンと再会する。 若い女性の影響で、58歳の本多が色気づいてしまうのはまだわかる。しかし、彼が密かな性的嗜好を隠していたのはどういうことか? 前作まではそんな兆候は全く書かれていなかったのに。 50歳を過ぎてから突然 《覗き》 を始めるというのは、いくらなんでもないだろう。 本作は、初老を迎えた本多を主人公とする奇怪な小説であった。ヒロインであるジン・ジャンの心理描写は省かれ、肉体のみの存在となっている。