三島由紀夫 『暁の寺』

  • だらだらと長い第1部に続いて、第2部が始まると、すでに昭和27年になっている。
  • 本多は巨額の報酬を得た後、日本に留学中の18歳のジン・ジャンと再会する。
  • 若い女性の影響で、58歳の本多が色気づいてしまうのはまだわかる。しかし、彼が密かな性的嗜好を隠していたのはどういうことか? 前作まではそんな兆候は全く書かれていなかったのに。
  • 50歳を過ぎてから突然 《覗き》 を始めるというのは、いくらなんでもないだろう。
  • 本作は、初老を迎えた本多を主人公とする奇怪な小説であった。ヒロインであるジン・ジャンの心理描写は省かれ、肉体のみの存在となっている。