Bill Evans Trio / The Tokyo Concert

Tokyo Concert

Tokyo Concert

  • 1973年1月20日録音。
  • Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)

 ビル・エヴァンス初来日の際、東京郵便貯金ホールで録音されたライヴ盤。
 全9曲入り。(7) のみピアノ・ソロで、ほかはトリオ演奏である。新曲を中心とした構成が新鮮で、本アルバムをユニークな作品にしているといえよう。エヴァンスのピアノは文句なしに美しく響いている。一方、ゴメスのベースは低域が不足しており、ピッチも甘くなってきている。
 9曲の中では、(1) "Mornin' Glory" が爽やかな印象を残す佳曲だと思う。

Bill Evans & George Russell Orchestra / Living Time

リヴィング・タイム

リヴィング・タイム

  • 1972年5月録音。
  • Bill Evans (p, el-p), George Russell (arr., cond), Webster Lewis (org, el-p), Ted Saunders( clavinette, el-p), Eddie Gomez (b), Ron Carter, Stanley Clarke, Herb Bushler (el-b), Sam Brown (el-b, el-g), Tony Williams, Marty Morrell (ds), etc.

 ビル・エヴァンス・トリオとジョージ・ラッセル・オーケストラとの共演盤。当時流行したジャズ・ロック(後にフュージョンと呼ばれるようになる)作品である。
 全部で8つのパートからなる組曲風の作品で、すべてジョージ・ラッセル作曲とクレジットされている。いわゆるビッグ・バンド編成だが、キーボード奏者だけでも3人が参加しており、エヴァンスはその中の一人という位置づけに留まる。したがって、ビル・エヴァンスが共同名義として記されているけれども、彼の作品の列に加えて評価するのは無理があるだろう。
 では、ジョージ・ラッセルの作品としてはどうかというと、やや前衛的なジャズ・ロックとして十分楽しめる内容だと思う。特に、トニー・ウィリアムスのドラムはかなり弾けていて、これはこれで悪くない。

Bill Evans / The Bill Evans Album

  • 1971年5〜6月録音。
  • Bill Evans (p, el-p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)

 エディ・ゴメス、マーティ・モレルとのトリオ編成によるスタジオ録音アルバムは、本作しかないことに気づいた。しかも、コロンビア移籍後の新作集である。気合がちがう。全体に力がこもっている。そんな感じの作品である。
 全7曲入り。CD は別テイクが3曲追加されている。そして、旧曲もまざっているが、すべてがエヴァンス作曲のオリジナルである。また、(2) 以外の曲でエレクトリック・ピアノが導入されているのも、本作の特徴といえよう。
 実際、耳を傾けてみると、まず目立つのが (1) "Funkallero" の出だしの歪んだエレピの音である。同曲の別テイク (10) は音がほとんど歪んでいないため、物足りない。初出の1962年録音(アルバム "Loose Blues" 収録)の時はほとんど消化不良だった楽曲が、デモーニッシュによみがえっていて、すばらしい。
 ほかにも、新アレンジによる "Waltz For Debby" など入っているが、エレピはともかく、ゴメスのベースのピッチが不安定で聴きづらい。

Bill Evans / Piano Player

Piano Player

Piano Player

 米コロンビア・レーベルから発表されたコンピレーション・アルバム(発売年不明)。
 全11曲入り。(1)〜(4) は1950年代録音の雑多な演奏を集めたトラックで、なかなか悪くない。(5)〜(10) は1970年録音のエディ・ゴメス (b) とのデュオ演奏。ゴメスはエレキ・ベースを弾いていたり(しかも下手くそ)最悪である。(11) はマーティ・モレルが加わったトリオ演奏で、1971年録音。
 未発表のスタジオ録音を集めたアルバムということで、話題を呼んだのかもしれないが、コレクター以外へ勧めるような価値のある作品ではない。