Art Farmer / Modern Art

モダン・アート

モダン・アート

 1958年、ビル・エヴァンスマイルス・デイヴィスのグループに加入。数枚の録音(いずれも名盤)を残しているが、マイルスについてはすでにレビューを書いたので、ここでは別のセッションをとりあげたい。
 本作は、トランペット奏者アート・ファーマーのリーダー作だが、テナー奏者のベニー・ゴルソンが大活躍しているアルバムである。ビル・エヴァンスは脇役なのだけれど、ピアノ・ソロのときには "New Jazz Conception" と似たような感じになるのが面白い。"New Jazz Conception" 収録の "I Love You" も再び演奏しているが、本作ではアート・ファーマーがアレンジしており、まったく違った雰囲気になっている。
 このあと、ファーマーは、トロンボーン奏者カーティス・フラーを加え、ピアノとドラムを一新して、6人編成の "The Jazztet" を結成するのだが、レコードは急につまらなくなる。テーマ部分のアレンジを重視しすぎて、演奏時間すなわちアドリブ・ソロが短くなってしまうのである。その点、本アルバムのほうが格段にレベルが高いと思う。
 なお、本作の録音を開始した前日(58年9月9日)に、エヴァンスはマイルス・デイヴィスセクステットとともに、ニューヨークのプラザ・ホテルのライヴに出演。70年代になってから、この時の録音が "Jazz At The Plaza Vol.1" というタイトルでレコード化されている。